不適応的スキーマの表 10.1

表10.1. 不適応的スキーマ(満たされなかった基本的欲求の領域別に分類)

●断絶と拒絶

スキーマ名説明
見捨てられ/不安定性支援やつながりを提供する人々が不安定または信頼できないと感じること。大切な人が感情的に不安定で予測不能(例:怒りの爆発)、信頼できない、気まぐれに存在する、すぐに死んでしまう、または「より良い」誰かのために自分を見捨てると感じることを含む。
不信/虐待他者が自分を傷つける、虐待する、辱める、騙す、嘘をつく、操作する、または利用すると期待すること。害が意図的であるか、極端な過失によるものであると認識することが多い。常に不当に扱われると感じることを含む。
感情的剥奪他者が自分の感情的な欲求を適切に満たしてくれないと期待すること。主要な形態は以下の通り: [A] 養育の剥奪(注意、愛情、温かさ、仲間意識の欠如)、[B] 共感の剥奪(理解、傾聴、自己開示、感情の共有の欠如)、[C] 保護の剥奪(強さ、指針、指導の欠如)。
欠陥/恥自分が欠陥がある、悪い、望まれていない、劣っている、または無価値であると感じること。自分の欠点が明らかになれば、大切な人から愛されないと考えることを含む。批判、拒絶、非難への過敏性、自己意識、比較、不安感を伴うことが多い。欠点は個人的なもの(例:利己的な性格、怒りの衝動、不適切な性的欲求)や、公のもの(例:外見の悪さ、社交的な不器用さ)であることがある。
社会的孤立/疎外感自分が世界から孤立している、他人と違う、またはどの集団やコミュニティにも属していないと感じること。

●自律性と遂行能力の障害

スキーマ名説明
依存/無能自分の日常的な責任を適切に処理する能力がないと信じること。他者の助けなしには自分の世話をしたり、問題を解決したり、適切な判断をしたり、新しい課題に取り組んだり、良い決断を下すことができないと感じること。しばしば無力感として表れる。
危害や病気への脆弱性いつでも差し迫った大惨事が起こると過剰に恐れること。恐怖の対象には以下が含まれる:[A] 医学的な大惨事(例:心臓発作、エイズ)、[B] 精神的な大惨事(例:発狂すること)、[C] 外部の大惨事(例:エレベーターの崩壊、犯罪被害、飛行機事故、地震)。
癒着/未発達の自己重要な他者(多くは親)と過度に感情的に密接であることで、自己の個別化や社会的発達が妨げられること。密着した個人の少なくとも一方が、他者の絶え間ない支えなしには生存できない、または幸福になれないと信じることを含む。自己同一性の欠如や虚無感、方向性の喪失、極端な場合には自己の存在そのものを疑問視する感覚を伴うことがある。
失敗自分が失敗している、必ず失敗する、または仲間と比べて本質的に能力が低いと信じること。学業、職業、スポーツなどの達成領域において「自分は愚かで、無能で、才能がなく、無知で、社会的地位が低く、成功していない」と考えることを含む。

●限界の障害

スキーマ名説明
特権意識/誇大性自分が他人より優れており、特別な権利や特権を持っていると信じること。通常の社会的相互作用のルールに縛られないと考えることを含む。過度に競争的または支配的であり、他者の感情やニーズを無視し、自分の欲求を最優先する傾向がある。
自己統制/自己規律の欠如目標達成のために必要な自己統制や欲求の抑制を持たない、または持とうとしないこと。快適さを最優先し、不快感を避けるために責任や努力を回避する傾向がある。

●他者志向

スキーマ名説明
服従他者の怒り、報復、または拒絶を避けるために、自分のコントロールを過剰に他者に委ねること。しばしば自己の欲求や感情を抑え込み、過度に従順な行動をとる。怒りが蓄積し、受動攻撃的な行動や感情の爆発などの問題を引き起こすことがある。
自己犠牲他者のニーズを優先し、自分の欲求を犠牲にすること。罪悪感や他者の苦痛を避けるために、自発的に自己を犠牲にする傾向があるが、結果として不満や怒りが蓄積することがある。
承認/評価の追求他者からの承認や評価を過度に求めること。自己の真の欲求よりも、他者からの賞賛や社会的評価を優先する傾向がある。

●過警戒と抑制

スキーマ名説明
否定性/悲観主義人生の否定的な側面に過度に焦点を当てること。失敗や災難を過剰に予測し、慢性的な心配や優柔不断を引き起こすことがある。
感情抑制自発的な感情表現を抑え込むこと。他者からの拒絶を避けるために、喜びや愛情、怒りなどの感情を表現しない傾向がある。
完璧主義/過度な批判性自己や他者に対して過度に厳しい基準を設けること。満足感や健康、人間関係を犠牲にしてでも、極端な基準を守ろうとする傾向がある。
懲罰的思考他者や自己の失敗を厳しく罰するべきだと考えること。寛容や共感の欠如を伴う。
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