「短期的な魅力」と「長期的な魅力」2011-04-18

 女性が男性を選ぶ時には、「短期的な魅力」と「長期的な魅力」とで別々の基準から選ぶようであることが分かっています。 
 さらに具体的に言うと、短期的な「恋人」としては、その男性がより男性的であり、より精神的・身体的に健康であり、より優良な遺伝子を持っていそうなことが魅力となります。 それに対してより長期的な「伴りょ」としては、その男性がより優しく、長年に渡る子育てにしっかり付き合ってくれそうなことが魅力となるのだろうと見られているのです。 さらに、ここからが身もふたもない話ですが、どうやら原始時代の女性は非常にしたたかな遺伝子継承方略を持っていたようであり、「伴りょ」となる男性は優しく誠実な人をしっかりキープしておきながら、排卵日近くなると他のより優良な遺伝子を持つ男性を浮気(より学問的な言い方をすると、extra-pair couplation = EPCという表現になるわけですが)によってつかまえ、その優良な遺伝子を取り込むという行動をする傾向がある・・・という話でした。
  ここで、男性が「イケメン」であることの現実的な利点が出てきます。 つまり、男性がイケメンであるためには、顔形がしっかりシンメトリーになっており、男性ホルモンが十分に出ていないといけないのです。 男性でも女性でも性ホルモンはストレスなどの影響によって容易に低下してしまいますから、十分な性ホルモンのレベルを維持しているということは、ストレスに強い、元気で優良な身体と、その身体の設計図になっている遺伝子を持っていることを示唆するというわけです。 つまり、女性が男性らしい、「イケメン」の男性を選ぶのは、優良な遺伝子を取り込む原始時代の女性の行動パターンの名残であろうと思われるのです。
  しかし、問題があります。 一般に、「男性として(短期的な)魅力があること」と、「伴りょとして(長期的な)魅力があること」とは、かならずしも一致しないのです。
  これまでの研究で、男性が「良い父親」として情緒的に良好に反応できるようになるためには、プロラクチンというホルモンの働きが必須のようであることが示唆されています。 以前に『愛のホルモン』のところで、オキシトシンの話題は出しました。 オキシトシンは「愛」や「絆」を形成するのに重要な役割があったのです。 哺乳類にとって哺乳行動に重要な役割を果たすもう1つのホルモンであるプロラクチンは、どちらかという「優しさ」の形成に重要な役割を果たすようです。 そして、「プロラクチン」は男性ホルモンと拮抗し、男性性を抑制する機能があるのです。  これは、子どもを持った男性が、しばらくの間「男性」であることをやめ「父親」に徹するためには必要なことだったでしょう。 奥さんが大変な思いをして子育てをしているのに、そして子どもが父親のケアを必要としているのに、「男性」として他の女性に目が向いてしまっているのでは困るからです。  男性にとって、プロラクチンは性交の直後に分泌されるほかに、「父親」となった男性に限っては、子どもの泣き声などに対しても分泌されることが分かっています。 そのような状況下で、男性は男性としての攻撃性や他の女性を性的対象として探すことを抑制され、「優しさ」が強化され、大切な人たちのために一緒にいることを求めるようになるのです。 うまくできているもんです。
  ただ、ここに問題があります。 つまり、男性ホルモンとプロラクチンが拮抗するという話にあるように、「(女性にとって短期的に)魅力的な男性であること」と「良い父親であること」は正反対の方向性を持っているのです。 では、女性はどうするのか? どちらをどのように選ぶのか?
  前置がとんでもなく長くなりましたが、今回紹介する研究は、
Roney JR, et al. Reading men’s faces: women’s mate attractiveness judgements track men’s teststerone and interest in infants. Proc. R. Soc. B, 2006; 273: 2169-2175.
  です。この研究では、若い女性たちが、男性の顔写真を見ただけで、その男性の性ホルモンのレベルがどれだけ高いかということと、どれだけ子ども好きであるかということを見分けていくことができるか? そして、それがその男性をどれだけ好ましいと感じるかにどのように関与しているか? という問題を調べています。  その結果、驚いたことに、女性は男性の顔写真の「男性らしさ」から、かなり正確にその男性の男性ホルモンのレベルを推定することができるようであり、女性はそのような男性を短期的な(一夜限りとかバカンスとかで短期間恋人となる)パートナーとして魅力的だと感じる傾向があることが示されました。 また同時に、女性は男性の顔写真から、その人がどれだけ子ども好きであり、子育てにしっかり関わってくれそうであるかを、これまたかなり正確に推定することができるようであり、そのような男性を長期的な(結婚して一緒に暮らしていく)パートナーとして魅力的だと感じる傾向があることが示されたのです。  (さらに、ちょっと身もふたもない話ですが、女性がイケメン=「短期的な魅力」のある男性に惹かれる傾向は、その女性が排卵日近くにより強まる傾向があるようです・・・。)
ーーーーー年取ってしまうと短期的魅力もなくなり長期的魅力については先が短いのだから明白にダメということなのだろうか困ったことだ
ーーーーーここまでの話を前提とするとしてそれならば世代を下るごとに「短期魅力」の男性が増えていくことになるすると「長期魅力」の男性の需要が高まるので平衡点に達するそうかな?
それに、男女比がほぼ1対1だとすれば「短期魅力」の男性を夫にしてしまう不幸な女性もいるわけでそういう基本的なミスをしてしまう女性を妻にする男というものもまた基本的なミスを犯していると思う
そうすれば「短期魅力」の男性は結局パートナーを持たないことになりその分の数の女性がパートナーを持たないことになるみんなが充分に賢明であればそうなるだろう
ーーーーー「短期魅力」「長期魅力」と言っても比較の問題なので遺伝子的に安定したある集団で長年が経つと多分1.01と10.2の差くらいになっていて大した違いではないし「短期魅力」の男性に欠員が生じると「長期魅力」の男性がひとり補充されるとかそんな感じだろう
20と80の法則みたいなことになる
ところが人類が広く交通して言葉も通じるようになると事情は違う。ある集団では10と11くらいの違いで決めているかもしれずそこに1.02が割り込んでも全く別世界である
そんなことが最近は起こっているような気がする

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