Emotional bias and inhibitory control processes in mania and depression

背景

躁病(そうびょう)とうつ病はとても異なる症状を持っているのに、神経心理学的な機能(脳の働き)の違いを研究したものは少ないです。躁病では行動の抑制ができないことが多く、脳の特定の部分(前脛骨前頭皮質)が躁病とうつ病で異なる反応を示します。これにより、脳の特定の部分が抑制制御(行動をコントロールする能力)に関わっているという考えが浮かびます。

方法

躁病の患者と健康な人は、コンピュータを使った記憶と計画能力のテストを受けました。また、躁病とうつ病の患者は、新しい感情シフト課題(感情と認知を切り替える課題)でもテストされました。この課題は、感情や考えをコントロールする能力を測るものです。

結果

躁病の患者は記憶と計画のテストでうまくいきませんでした。さらに、感情シフト課題の結果も躁病とうつ病の患者で異なっていました。躁病の患者は行動を抑制したり注意を集中したりする能力が低かったのに対し、うつ病の患者は注意の焦点を切り替えるのが苦手でした。うつ病の患者はネガティブな刺激に対してバイアス(偏り)を持っており、躁病の患者はポジティブな刺激に対してバイアスを持っていることが初めて示されました。

結論

記憶と計画のテストで見られた障害は、躁病とうつ病の患者がどちらも同じように脳に問題を抱えていることを示しています。また、感情シフト課題の結果から、気分に一致したバイアス(躁病ではポジティブ、うつ病ではネガティブ)があることがわかりました。これらの発見は、脳の特定の部分(腹内側前頭皮質)が気分と認知の関係をコントロールしているという考えと一致しています。

簡単に言うと、躁病とうつ病の患者はそれぞれ異なる形で感情や行動をコントロールするのが苦手であり、それが脳の特定の部分の働きに関係しているということです。

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