The Diagnostic Interview for Narcissistic Patients

概要
この論文は、病的なナルシシズムを評価するために特別に設計された半構造化面接である、ナルシシズム診断面接(DIN)について説明しています。DSM-IIIへのナルシシズム的人格障害(NPD)の導入には、経験的根拠が欠けていました。DINは、壮大性、対人関係、反応性、感情と気分、社会的道徳的適応の5つの機能領域を網羅した、病的ナルシシズムの33の特徴を評価することで、この問題に対処しようとしています。この面接の有用性は、信頼性調査と、24人の典型的なナルシシスト患者と58人の他の患者のサンプルから開発されたスコアリングシステムによって確立されています。DINは、NPDの診断とナルシシズムの次元的人格特性の評価の両方に使用できる、標準化された信頼性の高い尺度を提供します。この尺度は、NPDの妥当性、病因、経過、および治療可能性に関するさらなる研究を促進する可能性があります。

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ナルシシズム診断面接の内容分析

出典: ナルシシズム患者に対する診断面接 (ArcGenPsychDINGundersonRonningstametal1990.pdf)
本論文は、ナルシシズムの病理学的特徴を評価するために開発された半構造化面接であるナルシシズム診断面接 (DIN) の内容、信頼性、妥当性について述べています。

I. 序論

ナルシシズムは臨床的に広く使用されている用語であるが、DSM-III-Rへの導入は経験的根拠に基づいていませんでした。
本論文では、ナルシシズムの病理に関連すると考えられる幅広い臨床現象を調べ、NPDのより科学的な基準を開発するために設計された半構造化臨床面接であるDINについて説明します。
II. DINの開発

ナルシシズムを評価するための以前の取り組みは、自己報告尺度2~4を伴うか、またはすべての軸II障害を評価するために使用される構造化面接5~7に組み込まれていました。
DINは、先行研究のレビューと、ナルシシズム患者を体系的に調査した2年間の開発期間中に得られた臨床経験から生まれました。
III. 内容

DINの内容は、以下の5つのセクションに分かれています。

誇大性(3年間の期間、プローブ22個):
このセクションでは、患者の機能的履歴に関する一般的な質問から始まり、患者が自分自身をどのような人物として説明するかを尋ねます。
その後、特別な能力、無敵性、自己充足性、独自性、優越性という点で、患者が自分自身を非現実的に高く評価しているかどうか、またどのように評価しているかを明らかにするための具体的な質問へと移ります。
対人関係(3年間の期間、プローブ42個):
このセクションの特徴は、主に精神分析/心理療法の文献16~22に由来しています。
他者を理想化し、共感に欠けるナルシシストの傾向などの問題は、コフートの著作20,21に大きく依拠しています。ナルシシストの、人を過小評価し、軽蔑し、権利を主張し、搾取するスタイルを描写する他の特徴は、カーンバーグ18,19による記述に大きく依拠しています。
心理療法士は主に心理療法における観察について書いていますが、この面接は、患者の重要な他者との通常の対人関係スタイルにおいて、そのような特徴が存在する証拠を引き出すことを目的としています。
反応性(3年間の期間、プローブ25個):
このセクションでは、患者が批判、敗北、失望に対して異常に激しい反応を示すかどうかを評価します。
そのような経験が羨望によって動機づけられたと感じたか、深い恥、屈辱、怒りを感じたか、ナルシシストの極端な感受性と不適切な誇張された反応を浮き彫りにする具体的な質問が含まれます。
感情と気分の状態(1年間の期間、プローブ5個):
このセクションでは、空虚感、退屈感、無意味感、虚無感などの持続的かつ深い感情を探ります。
持続的な内面の悪徳感は、境界性パーソナリティ障害の患者に特徴的であるため23,24、この重要な鑑別に役立つ可能性があるため、含まれています。高いスコアは、ナルシシズムの診断に対して重み付けされます。
社会的および道徳的適応(5年間の期間、プローブ11個):
このセクションは、ナルシシストが表面的な、自己奉仕的な価値観や道徳観を維持しながら、高い業績を上げているという期待に基づいています。
怒りの状態や自己顕示のために法律を破るナルシシストと、金銭的またはその他の物質的な利益のために反社会的な行動を繰り返し行うナルシシストを区別しています。後者のパターンは、反社会的な人物に典型的なものと考えられており、ナルシシズムの診断に対して重み付けされます。
IV. スコアリング

5つのセクションはすべて、ナルシシストの患者によく見られる特徴で構成されています。
これらの特徴はそれぞれ、ステートメントの形で記述されています(n = 33)。
各ステートメントは、一連の個別のプローブ(n = 105)を行った後に採点され、その特徴の存在を明らかにし、定量化することを目的としています。
すべてのプローブとステートメントは、2(非常に)、1(いくらか)、0(なし)のいずれかで採点されます。
面接者はプローブを採点し、その情報を総合して、サマリーステートメントに記載されている特徴の有無に関するより一般的な印象をまとめることが期待されます。
V. 信頼性

インタレータ信頼性は、外来患者と入院患者の両方を含むサンプルで評価されました。
サンプルの約3分の1に明確なナルシシズムが見られ、他の患者のほとんどは他のタイプのパーソナリティ障害であったため、(遠く離れた診断が使用された場合よりも、関連性の低い質問が多く、面接官の判断における問題が少ないため)より厳しい信頼性のテストが提供されました。
面接は、明確な臨床診断がまだ確定していない初期評価時に行われましたが、ナルシシズムの病理の研究に対する私たちの関心の知識のために紹介された場合にしばしば行われました。
VI. 内部整合性と構成概念妥当性

3つの内部整合性のテストが行われました。
ステートメントの総得点との相関関係(カットオフポイントの開発に使用したのと同じ82人の患者サンプルを使用)は、良好な整合性を示しました(α = .81)。
ステートメントとそれに対応するセクションスコアの相関関係も、許容範囲内ではあるものの弱い内部整合性を示しました。セクションI、II、IVではα≥.60が観察されました。
反応性のセクションIII(.44)と、社会的/道徳的適応のセクションV(.49)で見られた低い相関関係は、ステートメントの数が少ないことと、それらのセクション内の内容の範囲が広いことの両方によって説明できる可能性があります。
セクションスコアとインタビュー合計の相関関係を調べたところ、全体的な整合性は許容範囲内であることがわかりました(α = .66)。しかし、セクションIVは十分に低い相関関係(α = .07)を示したため、インタビューの全体的な内容に大きく貢献していないことが示唆されました。これは、ナルシシストのサンプル8人に、同時に大うつ病を患っている人がいたことの影響を受けている可能性があります。
VII. 考察

DINは、臨床的にナルシシストと診断された患者から開発され、適用された最初の測定尺度です。
ナルシシストと診断された患者が、実際に先行研究で彼らに起因するとされてきた特徴を持っているかどうかを判断するために設計されました。
この取り組みは、洗練された面接官であればナルシシズム障害を識別できる臨床的に識別可能な兆候があると信じていることに基づいています。これは、ナルシシズム障害は転移の発達によってのみ識別できるとするコフートの見解とは対照的です20,21。このインタビューは、観察可能または報告可能な情報に焦点を当てているため、転移関係に頼らずに、より微妙な形の病理学的ナルシシズムが見落とされる可能性は十分にあります。この限界にもかかわらず、私たちは、先行研究で病理学的ナルシシズムに起因するとされてきた特徴のほとんどは、臨床医によってナルシシストとして識別された患者に見られることを発見しました。このような結果は、DSM-III-Rの基準を評価し、DSM-IVでNPDを定義するために使用される基準の経験的根拠を確立するのに役立つ情報を提供します。さらに重要なことは、ナルシシストのサンプルを確実に定義して障害の妥当性を評価するための尺度として、DINの有用性を確認したことです。
VIII. 結論

DINは、ナルシシズムの病因、経過、治療可能性などの問題に関する研究を促進する可能性があります。
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