チューリングテストとプレコックス・ゲフュール-2 ニュートンとアインシュタインとaiとあなたがいるチャットルーム

チューリングテストとプレコックス・ゲフュール-2 ニュートンとアインシュタインとaiとあなたがいるチャットルーム
再度になりますが、チューリングテストとプレコックス・ゲフュールの話。
チューリングテストは、現代でいえば、ネットの向こう側に、マシンか人間か分からない存在でいて、
こちらの人間は、相手がaiなのか人間なのか、判定しないといけないとする。

これを以下のようにアレンジしてみよう。
チャットルームがあって、そこには、ニュートン、ライプニッツ、ゲーテ、アインシュタイン、ハイゼンベルグ、ゲーデル、などが参加して、あなたもaiも加わっているとする。そしてそれぞれが考えている思いっきり最先端のことを話してもらうとする。
その時あなたは、どの人が人間で、どの人がaiなのか、判定する手段を持っているだろうか。
多分、無理ですよね。そもそも彼らが何を議論して、何を笑っているのか、分からない。英語は分かるとしても、その意味するところが納得できない。aiは、たぶん彼らの過去の業績についてきちんと学習していれば、話にはついていけるし、間違ったことを言えば、訂正してくれると思う。ただし、彼らの過去の業績を参考にしてのことだ。aiは自分で考える機械だとは私には思えない。「自分で考える」ってどういうこと?という疑問について話しているのに、こんなことを言ってはいけないのだが。

知性で劣る私たちには、彼らの話の真意が分からないし、何に白熱しているのかもたぶん分からないだろう。何に感動しているのかも、すぐには理解できない。

また、アインシュタインの側から見れば、こちらの知能の程度は分かるだろう。こちらから、アインシュタインの専門的知能の程度を会話から測定するのは無理だろう。専門の話の内容がたぶん分からないから。

以上は知性についての話である。人間の最高度に発達した脳の部分を使っている人間と、過去の文章や画像や映像を学習して、ベクトルの確率計算をしているaiとはやはり違うだろうと思うのが当然だろう。aiには人間よりも優れた部分があるし、劣った部分もある。将棋は圧倒的に強いでしょう。現在のところで、aiは人間の最上位機能(それは定義することも難しい。客観視するときに矛盾が起こりそうだ。このあたりはロマン主義的な人が好きそうなところだろう。)を持つには至っていないわけだから、aiにはそこの部分が欠如していることは、人間の脳の最上位部分が働いていれば、ああ、相手にはこれがないと感じるはずなのである。

aiの側からは、それがなんであるか分からないし、自分に欠如していることも分からないし、相手に過剰に何かが備わっているとも理解できない。

凡人とアインシュタインの、知性の面での違いに例えられる違いが、aiと人間にはあって、まだ差はあると思う。アインシュタインの側からは、凡人の知性の欠損がよく見えるだろう。凡人の知性は、アインシュタインの未発表の考えの中身を容易には理解できないだろう。その差というか、非対称性がある、そのような二者関係である。

ただし、人間の脳の最上位機能の機能不全は非常に起こりやすい。進化の最前線だからである。しかも、不全が起こったときに、簡単に調べて診断を確定する方法がない。ただわずかに手がかりとなるのがプレコックス・ゲフュールであると昔の人は考えたわけだ。人間の脳と脳が相対した時に、相手の脳の最上位機能に不全があると感じるのは、相手の脳の最上位機能部分だけにできることであるという考えである。

以上の推論は正しいかもしれないし、正しくないかもしれない。

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