Transactional Analysis 「If Only game」「Until game」

Transactional Analysis(トランザクショナル・アナリシス、TA)は、エリック・バーン(Eric Berne)によって開発された心理学の理論と方法論で、人々の心理的な相互作用(トランザクション)を分析するための枠組みを提供します。この理論の中で、「ゲーム」と呼ばれる反復的で予測可能な相互作用パターンが特定され、これらは人々の行動やコミュニケーションの中でしばしば見られるものです。

ゲームの概念

TAにおける「ゲーム」は、無意識的に行われる人間関係のパターンであり、繰り返される不健全な相互作用です。これらのゲームは、しばしばネガティブな感情を引き起こし、問題の根本的な解決を妨げます。

「If Only(もし〜であったならば)ゲーム」

「If Only」ゲームは、個人が何かを達成することを避けるために使用するパターンです。このゲームでは、個人は自分の成功や幸せを阻害する外部の要因を強調し、それがなければ自分の人生がより良くなると言います。たとえば、「もしもっとお金があったならば、幸せになれるのに」や「もし上司がもっと理解があったならば、もっと仕事がうまくいくのに」といった言い訳が典型的です。

このゲームは、個人が自分の責任を回避し、自分自身の行動や決定に対して責任を取らない方法として機能します。また、他者の同情や理解を求める手段としても用いられます。

「Until(〜するまで)ゲーム」

「Until」ゲームは、ある条件が満たされるまで行動を延期するパターンです。このゲームに従事する人は、特定の状況や条件が整うまで、自分の望む行動や変化を起こさないという言い訳を作ります。たとえば、「ダイエットは忙しい時期が終わってから始める」や「子供たちが独立するまで新しい仕事を探さない」というように、何かの達成を無期限に先送りする傾向が見られます。

「Until」ゲームは、個人が変化や挑戦を避け、現在の状態に留まる理由を提供します。これにより、個人は自分の人生に対するコントロール感を保ちつつ、実際には変化を恐れていることが多いです。

ゲームの影響と克服

これらのゲームは、個人が自己制限的な信念に縛られ、自己成長や人間関係の発展を妨げることが多いです。TAのアプローチでは、これらのゲームを認識し、分析することで、個人がより健全で建設的な相互作用を学ぶことを目指します。具体的には、ゲームの背後にある心理的な利益(例えば、注意を引く、責任を回避するなど)を理解し、それを他の健全な方法で満たす手段を見つけることが重要です。
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どんな人間関係にも必ずあるルールを知り、自分の置かれている状況を正しく分析すれば、「人間関係の苦しみ」という敵に打ち勝つことができます。

トラブルに発展するような不快を生じる関係性は、「交流分析」という心理学における、次の2つが核となるパターンが考えられます。

① ゲーム

さまざまなパターンがあります。やろうと思っているわけではないのに、無意識にはじめたり、巻き込まれていたりします。

闇雲に対応していると、どんどんドツボにはまっていき、不快な思いをするだけではなく、心身共に苦しさで疲弊してしまいます。

② 人生脚本

人は幼い頃の過ごし方によって、自分の中に「人生の脚本」が培われます。その後は、この脚本に沿って人生を歩むとされます。

「三つ子の魂、百まで(3歳頃までに身につけた経験や習慣は、100歳になっても忘れずに繰り返す)」ということわざがありますが、幼少期に書いた脚本は一生変わることがなく、死ぬまで、その脚本の通りに人生を生きていくと言われています。

この脚本には、人間関係を損なう書き込みがなされている場合があり、注意が必要です。

この2つの理論と仕組みを知っておくことで、自分が陥りやすい人間関係のトラブルを知ることが可能となります。

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心理学におけるゲーム理論とは、意思決定や戦略的行動の研究に用いられる理論です。元々は経済学や数学の分野で発展したこの理論は、人間の行動を理解し予測するためのフレームワークとして、心理学や社会科学の分野にも応用されています。

ゲーム理論の基本的な概念

  1. プレイヤー(Players):
  • 意思決定を行う個人や集団を指します。心理学においては、プレイヤーは例えば、個々の人々やグループ、家族などです。
  1. 戦略(Strategies):
  • プレイヤーが取ることのできる行動の選択肢を指します。心理学では、これには例えば、協力するか競争するか、自己開示をするかしないかといった選択が含まれます。
  1. 報酬(Payoffs):
  • 各プレイヤーが選択する戦略に基づいて得られる結果や利益です。報酬は物質的なものだけでなく、感情的な満足感や社会的な承認なども含まれます。
  1. ナッシュ均衡(Nash Equilibrium):
  • 各プレイヤーが他のプレイヤーの戦略を知っていても、自分の戦略を変更しない状態です。これは、全てのプレイヤーが最善の戦略を選んでいるために、誰も単独での行動変更によって利益を得られない状態を指します。

心理学における応用

心理学では、ゲーム理論は特に以下のようなテーマに関連して応用されています。

  1. 対人関係とコミュニケーション:
  • ゲーム理論は、信頼、協力、競争といった対人関係の動態を分析するために使用されます。例えば、囚人のジレンマは協力と裏切りの選択をモデル化し、個人が短期的な利益を追求するのか、長期的な協力を選ぶのかのジレンマを描き出します。
  1. 行動経済学:
  • 人間が非合理的な選択をする理由を探るために、行動経済学は心理学的な洞察とゲーム理論を組み合わせています。例えば、人々がリスクを避ける傾向や損失を回避しようとする行動などが研究されています。
  1. 集団行動と社会的影響:
  • ゲーム理論は、集団内での意思決定や社会的影響を理解するために利用されます。これには、社会的ジレンマ(例えば、公共財の提供や資源の共有に関する問題)が含まれます。

心理学におけるゲーム理論は、人々の行動を予測し、理解するための強力なツールであり、様々な社会的および個人的な状況における意思決定のメカニズムを探るのに役立っています。

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