主な結果
– 双極性障害の現在急速循環(RC)患者は、非RC患者と比較して、女性の頻度が高く、発症年齢が若く、機能障害が多く、神経発達および身体合併症の割合が高かった。
– 双極性障害の1年後に寛解状態を達成した(one-year euthymia:OYE)患者は、非OYE患者と比較して、女性の割合が低く、年齢が高く、職業上の地位が高く、さまざまな精神症状および合併症の割合が低かった。
– 最も一般的に処方された薬は気分安定薬であったが、RC患者では抗精神病薬がより一般的であり、OYE患者では抗うつ薬はより一般的ではなかった。
双極性障害患者におけるラピッドサイクラーおよび1年後に寛解状態を達成した患者の臨床的背景などを調査した主な結果は以下のとおり。
・現在のラピッドサイクラーの割合は9.7%であり、女性で有意に高かった。
・ラピッドサイクラー患者は、非ラピッドサイクラー患者と比較し、発症年齢が若く、機能障害を有し、神経発達障害および身体疾患の合併頻度が高かった。
・1年後に寛解状態を達成した患者の割合は19.4%であり、女性、高齢、職業的地位の高さ、自殺念慮、精神症状、人格障害、アルコールまたは薬物乱用の低さと関連が認められた。
・気分安定薬は80%以上、抗精神病薬は50%の患者に処方されていた。これらの処方率は、ラピッドサイクラーでより多く、1年後に寛解状態を達成した患者でより少なかった。
・抗うつ薬の処方率は、ラピッドサイクラーよりも1年後に寛解状態を達成した患者のほうが低かった。
著者らは「RCとOYEは、相反する特性を有するが、パラメータの詳細に特色が認められた。これら相反する臨床的特徴の背景や特性を理解することは、BDの進行を予測するうえで役立つであろう」としている。