『あなたはなぜ深夜に食べ過ぎてしまうのか』問題


・肥満に悩んでいる人は、食事制限したほうがいいことは知っているし、運動したほうがいいことは知っている。
・でも、なぜかそれができないことは知っている。
・情報を調べると、ノウハウは載っていて、しかも定期的に変更され、流行があり、パラダイムシフトがある。今おすすめされている方法が単なる一時的な流行にすぎないことは、ある程度年齢を重ねると理解できるようになる。
・しかしそのようなノウハウであっても、実行すれば、それなりに効果はあるだろう。でも、実行できない人が大多数である。
・昼に、意識がはっきりしている時間なら、食事制限も運動もできる。しかし夜になって、意識レベルがやや低下したとき、食べたい誘惑に負けてしまう。それですべては振出しに戻ってしまう。
・では、昼の、頭がはっきりしている時間と、夜の、頭がぼんやりしている時間は、何がどう違うのだろうか。
・もちろん、皆さんご承知の通り、昼は脳の最上位階層が活動していて、下位の欲動、たとえば食欲を抑制することができる。しかし夜の時間は最上位階層は活動を停止していて、下位の欲動が解放されてしまう。
・だから、最上位活動が停止しても起きて活動していることがよくない。最上位部位が活動停止したら、寝てしまうのがよい。
・別の考え方としては、上位、下位というが、それは何かというと、上位中枢は、『現在の自分の利益とともに未来の自分の利益を重視できる』のに対して、下位中枢は、『今の自分の利益しか考えられない』という特徴がある。だから、未来の自分の利益をしっかり認識することが大事と主張する。
・そのために、ぼんやり未来と思うだけではなく、いつ頃の未来にどうなっていたいかを考える。そしてそれまでの期間を分割して、それならば現在どうすることが必要か、考える。
・そんなことは分かっているという人が大部分だと思うが、肝心なのは、その未来の姿が、どのくらい強烈に自分を引き付けるかではないだろうか。例えば、高校球児が甲子園でホームランを打つイメージを、どのくらい強烈に、具体的に、鮮やかに、子細に、イメージできるか。バットに当たったときの感触なども具体的にイメージできるくらいに。まずそれが第一ではないだろうか。
・それがあって初めて、下位の、食欲という原始的な欲求に対抗できるのだと思う。
・しばしば聞かれる、夏になって水着を着た時に、素敵だと言われるように、とか。その場合、どの水着で、どこのプールで、誰と、など具体的にイメージする。そして、その時の自分は、他人のような遠い関係の人間なのではなく、まさに自分自身なのだと強く思うことである。
・未来の良い自分のイメージを明確に持ち、さらにその未来の自分と、現在の自分が会話できるくらいまで、未来の自分を、身近で、具体的なものとして感覚できるようになればいい。
・『他人、未来の自分、現在の自分』と並べてみて、未来の自分は、他人にどれだけ近いだろうか。あるいは、未来の自分は現在の自分にどれだけ近いだろうか。
・他人のように遠い存在であれば、太っていようが、糖尿病であろうが、生活習慣病であろうが、どうであろうが、現在の自分のほうが、大事だろう。

そうではなくて、未来の自分は現在の自分にとって他人事ではなく、とっても身近な存在だと思えたら、大事に考えるだろうから、未来の体重と、現在の食欲と、天秤にかけて、どちら大事かと選択できる。

・選択出来るという感覚も大事だ。夜に食欲に支配されて、上位中枢がダウンしたまま、選択肢もなく、冷蔵庫の中のものを電子レンジで温めているというのも、悲しい。選択肢があって、それを自分は選んだという気分が大事だ。

・と、まあ、こんなことを言うのだが、結局、『食べて元気になる』『暑さに負けないように食べる』『おいしいのだから食べたい』となって、むしゃむしゃ食べることになる。

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