能力主義と言われて、考えるのは、これまで、多くの人が、グーグル検索の上位に検索表示されるためのノウハウを競ってきたことだ。多くの汗と才能が投入されてきた。
近視眼的に見ると、お金儲けには役立つだろう。
しかし遠視眼的に見ると、グーグル社の決めた検索順序決定方式に適応しているだけで、人間の知的な営みとしては実に永続的価値の低いものである。
現代のわれわれが共有している自然科学的態度は、長い目で見ればどうか分からないが、少なくともここ400年とかそのくらいは、そしてあと当分の間は、永続的価値があるものと思っている。少なくともも弾道ミサイルの制御ができて、攻撃用ドローンの操縦ができて、戦争被爆者の治療ができる。戦争PTSDの治療はやや貧弱だ。
グーグルが決めて、定期的に変更する規則ではなく、自然法則が相手なら、永続性があるし、地価があるのではないか。少なくとも、自然法則が変更になるまで、有効である。
自然科学的態度よりもずっと短い期間でグーグル検索上位という価値観は消えようとしている。ここからしばらくはAI優位の時代が続くのだろうか。
能力主義と言っても、この程度のものでしかない。
これを価値のないものとみなす立場もあるし、少なくとも数年の間は収入上昇に寄与したと肯定する立場もあるだろう。
グーグルは一種の危機に瀕しているのだろうけれども、そのせいか、広告活動は一層活発になっている。AI方面での活動も、先行するオープンAIとかマイクロソフトに対抗する形で活発である。活発な分だけ、危ないのかなと思ってしまう。