トラップから抜け出す

認知分析療法(CAT)の視点から、思考、感情、行動の背後にあるパターン、特に「罠」と呼ばれる悪循環に焦点を当てる。罠とは、特定の考え方や行動が状況を改善するどころか悪化させる悪循環のことで、そこから抜け出すためには、自分をそこに留めている考え方や思い込みを見直す必要があります。

トラップ

以下の5つの主要な罠について説明しています。

「他人の望むことをする」という罠(なだめの罠)

厳しく判断されることへの恐れや自己価値感の低さから、自分の意見を表現できず、他人の考えや願望に合わせようとする傾向。
他人を喜ばせることで愛情や承認を得ようとするが、長期的には利用されたり虐待されたりする経験につながり、怒りや憤りを感じる。
この罠から抜け出すためには、「好かれるためには他人を喜ばせなければならない」という前提に挑戦する必要がある。
自分のニーズが無視されていることに気づき、憤りや困窮を感じる。抑圧された感情が子供のような方法で爆発したり、先延ばしにしたり、隠れてしまったりすることもある。
不安や努力に関連して、相互役割が条件付きや不承認であることに気づくかもしれない。

「うつ思考」の罠

過去の失敗経験から、また悪いことをしたり、何らかの形で失敗したりするだろうと期待する傾向。
小さなことで自信を失い、自分が失敗者であると信じるようになる。
うつ病は複雑で、物理的な原因がある場合もあるが、うつ病の思考を認識し、それに対抗することで、気分が変化することが示されている。
自己モニタリング(例:1時間ごとの気分の評価)を通じて、自分が最も落ち込む時間帯や、常に最悪の状態ではないことに気づくことが重要。
ネガティブな思考の起源を特定し、それらが自己永続的であることを認識する。
うつ病の根底に怒りを抱えている場合、その怒りを認識し、表現することが重要。

「ひとりでいるほうがいい」という罠

他人との接触によって生じるトラウマを避けるために、人との接触を避ける傾向。
他人から退屈だと思われたり、愚かだと思われたりすることへの不安が強く、人との接触を避ける。
社会的な状況で自分の能力に自信がなく、何を言えばよいのか分からなくなり、無愛想で孤立しているように見えるため、人々が離れていくという悪循環。
拒絶や批判を誇張して想像するため、他人からの反応に過敏になる。
この罠に陥っている人は、人々に会って話すためのスキルを身につけていないことが多い。

「回避」の罠

難しいと思うことを避けると、長期的には困難が増大し、無力感やコントロールの欠如が増大する。
広場恐怖症は、この罠の極端な例。不安の身体的な症状(例:膝の震え、動悸、息切れ、失神、吐き気)が非常に強く、同じことが起こることを恐れて特定の状況を避けるようになる。
広場恐怖症ほど極端ではなくても、拒絶されることへの恐怖から他人との接触を避けたり、間違った決断をすることへの恐怖から決断を避けたり、難しい返答があるかもしれない電話を避けたり、日常の仕事を避けたりするなど、様々な形で回避行動が現れる。
予期せぬ状況や想像上の状況に対処できるとは信じていないため、回避の罠にはまってしまう。
自分が恐れているものを知り、名前を付けることが、それを克服するための第一歩。

「自尊心の低さ」の罠

自分自身や人生への貢献にほとんど価値を置いていない状態。
無価値感から、自分には何も提供できるものがないと思い込み、自分を卑下する。
明らかな形(例:否定的な自己言及、自己卑下)で現れることもあれば、より微妙な形(例:成功した外見の下に隠された無価値感)で現れることもある。
何を求めても無駄だと感じ、自分が望むものを手に入れることができないと感じる。
自分が達成する「べき」基準が不明確で、何をやっても十分ではないと感じる。
自分を他人と比較し、不公平な比較によって自己価値感をさらに低下させる。
習慣化した無価値感から抜け出すことを恐れる人もいる(例:「うまくやれば、人々は常にそれを期待するだろう」)。

「他人を傷つけるのが怖い」という罠

自分の思っていることや感じていることを他人に口にすると、相手を傷つけると信じているため、自己表現を避ける傾向。

幼少期のフィードバック(例:「子供たちは見られるべきであり、話を聞くべきではない」)や、怒りに対する否定的な経験(例:禁止、罰、激しい反応)が原因であることが多い。

自分の感情を外に出すと、他の人も傷つけてしまうのではないかと心配する。

虐待を受けた経験を持つ人は、自分の本能や衝動に不信感を抱き、悪いことが起こったのは自分の中にある何かのせいだと誤って信じている場合がある。

この罠に囚われていると、自分を主張したり、自分の権利を主張したりすることができなくなる。

自己表現を避け、不公平さに重荷を感じ、子供じみた不機嫌さから抜け出せないように感じることがある。自傷行為に及ぶこともある。

攻撃性と自己主張: 攻撃性と自己主張を再評価することで、この罠から抜け出すことができる。自分の考えを話したり、自分自身のために立ち上がることは攻撃的であると教えられてきたかもしれないが、自然な攻撃性を認識し、それを適切に表現することが重要。軽率な攻撃性は暴力につながるが、自然な攻撃性を自分の権利を擁護するために使用すると、主張になる。

まとめ

人々が陥りやすい様々な「罠」を詳細に説明し、それらが幼少期の経験や自己認識とどのように関連しているかを示した。これらの罠を認識し、理解することで、悪循環から抜け出し、より健全な考え方や行動パターンを身につけることができるでしょう。

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