この講演者は、ロシアと西側諸国間の対立について、軍事的な側面ではなく文化的な差異に焦点を当てて議論しています。以下に、提示された主要なポイントと統計をまとめます。
- ウクライナ戦争の驚き:
軍事: ロシア軍は当初の予想ほど強力ではなく、ウクライナで苦戦している。
経済: ロシア経済は、西側の制裁に対して予想以上に回復力があることを示した。
社会: プーチン政権は、ロシア国内で高い支持率(約80%)を維持している。
- 西側世界の認識:
西側はしばしば、自身を自由民主主義、個人主義、自由といった普遍的な価値観を代表するものとみなしている。
この見方は、多くの国がロシアの行動を非難していないという事実によって疑問を呈されている。
- ロシアに対する世界的な態度の地図の分析:
地図は、ロシアを非難している国が主に米国、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国であることを示している。
講演者は、これが世界的な連合ではなく、狭い、主に西側、具体的にはアングロアメリカの中核を代表していると主張している。
- 西側の自由民主主義への批判:
講演者は、自由民主主義を制度の集合とライフスタイル(生き方)として区別する。
西側諸国は民主的な制度を維持しているが、経済的不平等の拡大は、自由民主主義の核心的な信条である平等の概念を損なうと講演者は主張する。
講演者は、ケースとディートンの著書「絶望の死」を引用し、45歳から59歳の白人アメリカ人の平均寿命の低下を分析している。これは、社会的、経済的要因に起因するとされている。
講演者はまた、米国における異なる所得層間の平均寿命の格差が拡大していることを指摘する。
講演者は、米国、そしてある程度は英国が、「自由寡頭制」または「金権政治」になったと示唆しており、権力は真の民主主義ではなく、富裕層と影響力のある人々の手に集中している。
- ロシアの政治体制の説明:
講演者は、ロシアを単純な独裁制または全体主義体制として説明することに反対する。
少数派の保護が十分にないにもかかわらず、選挙の存在と政府の高い支持率のために、ロシアは「権威主義的民主主義」と表現できると講演者は示唆する。
講演者はまた、ロシアの権力構造は西側とは異なり、富裕層が支配するのではなく、国家と一般の人々の間の連合があると指摘する。
講演者は、これらの点を踏まえ、ロシアと西側の対立の根深さ、そしてそれぞれの社会構造の違いについて議論を展開しています。
講演者は、ロシア、中国、インドなどを含む「中央父系制世界」と、西側諸国である「周辺二方制世界」の間の経済的相互作用について議論して締めくくります。以下にまとめます。
同性愛嫌悪と女性の解放: 講演者は、西側における同性愛嫌悪の減少は、ロシアよりも進んでいる女性の解放と関連していると簡単に触れます。このつながりを示すために、同性愛嫌悪の地図が含まれています。
グローバル化と専門化: 講演者は、これら二つの世界の差異が、グローバル化の過程における経済的専門化を導いたと主張します。
産業雇用: 産業に従事する人口の割合を示す地図は、産業活動が中央父系制世界に集中していることを示しています。講演者は、歴史的に男性が支配してきた家父長制的な家族制度と産業労働との関連性を示唆しています。
経済的役割の転換: 周辺二方制世界は、産業から第三次活動とイノベーションへと移行しました。しかし、これは中央父系制世界の物理的生産への依存を生み出しました。
行き詰まりの再考: 講演者は、行き詰まりの概念を、軍事的、経済的な側面だけでなく、産業能力の観点からも再考します。
ロシア経済の回復力: 講演者は、ロシアの強力な産業基盤と多様な輸出(ガス、石油、金属、肥料、穀物)を指摘することで、ロシア経済の回復力を説明しています。ロシアは「物を生産する国」と表現されています。
西側経済の脆弱性: 講演者は、中央父系制世界からの輸入に依存している西側経済の回復力に疑問を呈しています。講演者は、制裁によるヨーロッパのインフレ上昇と、様々な商品の供給における潜在的な問題を指摘しています。
戦争の産業的側面: 講演者は、長期化する戦争における産業能力の重要性、特に兵器を生産する能力を強調しています。講演者は、この点で西側がロシア(そして潜在的には中国)と競争できるかどうかについて不確実性を表明しています。講演者は、米国が自国の兵器生産能力を懸念していることに言及しています。
交渉の重要性: 講演者は、戦争を憎むことを繰り返し、交渉と平和の重要性を強調しています。
さらなる研究の呼びかけ: 講演者は、学生に対し、提供された地図を調べ、西側同盟の一員でありながら、ある程度の産業能力を保持し、穏やかな父系制社会の特徴を示すドイツや日本のような中間の立場にある国々を検討することを奨励しています。
分断された世界: 講演者は、学生が分断された世界で生きなければならないだろうと示唆し、自身の研究が両世界の相互理解と受容に貢献することを願っています。
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家族構造から社会構造を分析し、その延長で、ロシア中国と欧米の対立を理解しようとしている。
共同体主義と平等主義はロシアや中国に今でも色濃く残っている。
農業を営むには大家族主義が有利だった。
子どもが最初に経験するのは父親の権威が絶大であることだ。
それは父権主義の根本的由来である。
宗教の場面でも、一神教は父権主義の影響が考えられる。
遺産を子供たちに平等に分配する考えも取り上げられている。
婚姻して子供が独立すると考えれば、子供の能力を考えて、能力の低い子供には手厚く残したいとの考えもある。また配偶者に恵まれたならば、遺産は少なくても、結果の平等になるとも考えられる。大家族制で維持することを考えれば、財産が小さく分割されるよりは、家族の長が全体を管理し、平等を維持するように配慮したほうがいいのかもしれない。
農業が基本の社会とその他の社会では違うのかもしれない。
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父権の強度で社会を考察する
父子関係と母子関係の両方が社会的に承認されている社会、個人主義的社会、核家族的社会
父と息子の関係が重要、男性が尊重される、大家族制社会
この図式で考えると日本社会はかなり矛盾を生きているのだろうか
父権主義的とは言っても、日本社会は母性社会であるとの根強い話もある
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なぜ欧米社会はそれほどまでにロシアを嫌うのか?
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父系制の国は第二次産業に強い
欧米は双系制で第三次産業に強い。技術革新が進行する。同時に女性解放が進む。双系制社会は第二次産業を父系制社会に頼っている。
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