『人間の権利』 トマス・ペイン

★『人間の権利』
トマス・ペイン/角田安正訳
定価1980円

今月の新刊はトマス・ペインの主著『人間の権利』です。独立か和解かで意見が揺れる世論に対し、小冊子『コモン・センス』の檄文でアメリカ独立を導いたペインですが、今度はフランス革命でも重要な働きをします。共和政を理想とするペインは、革命による過激な改革を批判するエドマンド・バークに反駁し、革命を徹底して擁護します。
そしてさらに、『コモン・センス』以来の王政批判を社会的弱者の人権を守るための福祉政策へと結びつけ、“人間らしく生きる権利”、つまり現代で言うところの「生存権」の配慮を訴えました。十八世紀末の時点で生存権への配慮を訴えたという事実、またベーシック・インカムに近い政策提言など、その先駆性はもっと注目されていい功績だと思います。政治思想史においてだけでなく、経済思想史においても重要な古典の一つです。

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