認知行動療法(CBT)の流れ

認知行動療法(CBT)の流れは、一般的に以下のようになります。ただし、個々の状況や問題によって、順番や重点が異なることがあります。

1. 導入・評価

  • 初回面接:
    • CBTの説明:CBTの基本的な考え方、治療構造、進め方などを説明します。
    • インフォームドコンセント:治療内容、費用、プライバシー保護などについて説明し、同意を得ます。
    • 目標設定:クライアントがCBTで達成したい目標を明確にします。
  • アセスメント(評価):
    • 面接:現在の問題、過去の経験、生活状況、性格傾向などを詳しく聞き取ります。
    • 心理検査:必要に応じて、不安、抑うつ、ストレスなどを測定する心理検査を実施します。
    • 自己モニタリング:クライアント自身に、特定の状況下での思考、感情、行動を記録してもらいます(例:不安日記、行動記録)。

2. 概念化・治療計画

  • 問題の明確化:
    • アセスメントで得られた情報をもとに、クライアントが抱える問題を具体的に特定します。
    • 問題の構造化:問題を構成する要素(状況、思考、感情、行動、身体感覚)を整理し、それらの関連性を理解します。
  • 認知行動モデルの適用:
    • クライアントの問題に、認知行動モデル(例:認知三角形)を適用し、思考、感情、行動の相互作用を説明します。
    • 自動思考、スキーマ(認知の歪み)の特定:問題の原因となっている可能性のある、ネガティブな自動思考やスキーマを特定します。
  • 治療計画の作成:
    • 問題の構造化と認知行動モデルに基づき、具体的な治療目標と、目標達成のための治療技法を選択します。
    • 治療の優先順位:複数の問題がある場合、どの問題から取り組むかを決定します。

3. 介入・技法

  • 認知再構成法:
    • 自動思考の特定:ネガティブな自動思考を認識し、記録します。
    • 思考の検証:自動思考の根拠を検証し、客観的な証拠を探します。
    • 適応的な思考の生成:より現実的でバランスの取れた思考を生成します。
    • 思考実験:新しい思考を試し、感情や行動にどのような影響があるかを観察します。
  • 行動実験:
    • 行動活性化:楽しい活動や目標達成につながる行動を増やし、気分を高めます。
    • エクスポージャー(暴露療法):不安や恐怖を感じる状況に段階的に暴露し、慣れていくことで不安を軽減します。
    • 問題解決スキル:問題解決のためのステップ(問題定義、解決策の考案、実行、評価)を学び、実践します。
    • アサーション・トレーニング:自分の意見や気持ちを適切に表現する方法を練習します。
  • その他の技法:
    • リラクゼーション法:呼吸法、漸進的筋弛緩法などを用いて、心身の緊張を和らげます。
    • マインドフルネス:現在の瞬間に意識を向け、思考や感情にとらわれずに観察する練習をします。
    • イメージ療法:特定の状況をイメージし、感情や行動をコントロールする練習をします。

4. 評価・維持・終結

  • 効果測定:
    • 治療の進捗状況を定期的に評価します。
    • 心理検査や自己モニタリングの結果を比較し、改善度合いを確認します。
    • 必要に応じて、治療計画を修正します。
  • 再発予防:
    • CBTで学んだスキルを維持し、将来の問題に適用できるように練習します。
    • 再発の兆候を早期に発見し、対処する方法を学びます。
    • サポートシステムの構築:家族、友人、医療機関など、必要な時に助けを求められる関係を築きます。
  • 終結:
    • 目標達成度を確認し、CBTの成果を振り返ります。
    • 今後のセルフケアについて計画を立てます。
    • 必要に応じて、フォローアップの予定を立てます。

重要なポイント:

  • 協調性: セラピストとクライアントが協力して問題に取り組みます。
  • 個別性: クライアントの個性や状況に合わせて、治療計画や技法を調整します。
  • 能動性: クライアントが積極的に治療に参加し、宿題や自己モニタリングに取り組みます。
  • 段階性: 徐々に難易度を上げながら、無理なく進めていきます。

認知行動療法は、実践的なスキルを学ぶことで、クライアント自身が問題を解決できるようになることを目指します。

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