実存メモ121
死に対する恐怖(死の不安)は、人間にとって最も根本的な不安の一つである。
幼い頃から存在し、人の性格の形成に影響を与え、人生を通して不安を生み出し続ける。
その不安が強いストレスを引き起こし、心理的な防衛(心を守る仕組み)を作る原因となる。
しかし、死の不安は私たちの「存在の最も深い部分」にあり、強く抑圧されているため、普段ははっきりと感じることが少ない。
そのため、表面的には死の不安が見えにくいことが多い。
セラピーの場面では、死の不安が直接話題に上がることは少ない。
しかし、死の不安を理解することで、セラピストはより効果的な治療を行うことができる。
死の不安の強さは「どれだけ充実した人生を送ったか」と関係がある。
自分の人生を豊かに生き、可能性を十分に発揮した人は、死を前にしてもそれほど強いパニックを感じない。