ロジャーズ07 クライエント側の基本概念

ロジャーズ07 クライエント側の基本概念
クライエント側の基本概念には、「自己概念(self-concept)」、「評価の所在(locus of evaluation)」、「体験(experiencing)」がある。

自己概念は、自己に対する認識や感情であり、その主要な構成要素の一つに「自己評価(self-regard)」がある。治療を求めるクライエントにおいては、しばしば自己評価が欠如している。治療に成功したクライエントは、自己に対する態度が著しく肯定的になっていることが示されている。

評価の所在は、自己の価値判断の基準がどこにあるかを指し、クライエント中心療法は、外部からの評価ではなく、クライエント自身の内的な感覚に基づく「有機体的価値付け過程(organismic valuing process)」を重視する。

体験は、個人の私的な世界を指し、ある瞬間にはいくつかの体験が意識にのぼる。自己概念と矛盾する経験に対しては、象徴化を拒否する傾向がある。

象徴化(Symbolization): 個⼈が経験を意識または認識するプロセスです。自己概念と矛盾する経験に対しては、象徴化を拒否する傾向があります。

心理的適応または不適応(Psychological Adjustment or Maladjustment): 個人の感覚的および内臓的な経験と自己概念の間に一致(congruence)があるかどうかが、心理的に適応しているか、不適応であるかを決定します。

有機体的価値付け過程(Organismic Valuing Process): 個人が自身の感覚の証拠に基づいて価値判断を行う継続的なプロセスです。「〜すべき」や「〜でなければならない」といった固定的な内在化された価値体系とは対照的です。これは、クライエント中心療法における「個人への信頼」の仮説と一致します。
価値の条件(Conditions of Worth): 成長の過程で、多くの子供は「良い行動をすること」などの条件によって自分の価値が決まると学びます。ロジャーズはこのプロセスを「価値の条件を獲得すること」と呼びました。

不一致な自己(Incongruent Self): 価値の条件を獲得した結果生じる自己の状態を指します。自分の好みや感情、意見を言葉にすることが、自己を確立し、個人的なアイデンティティを確立する第一歩となります。
主観的文脈(Subjective Context)と客観的文脈(Objective Context): フレッド・ジムリングが提唱した概念で、主観的文脈は「私(I)」として自己を体験する状態、客観的文脈は「私(me)」として自分を認識する状態を指します。クライエント中心療法は、クライエントが主観的文脈にアクセスし、感情の変化を促すことを重視します。

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