ロジャーズ13 ジムリング

ロジャーズ13 ジムリング
ジムリングは、内的文脈を「私(I)」としての自己体験(主観的⽂脈)と「私(me)」としての自己認識(客観的⽂脈)の2種類に区別します。

客観的⽂脈では、人は「私(me)」として自分を認識し、文化的に重視される現実世界の中で成功や失敗といった判断を伴う取引的な状態にあります。これは、他者視点から自分を見るあり方です。
一方、主観的⽂脈では、人は「私(I)」として自己を体験し、自分の主観的な感情や体験に気づき、評価や道徳的判断から解放されます。現実世界ではあまり価値を置かれないかもしれませんが、自己の内的な視点にアクセスすることが重要になります。
ジムリングは、クライエントが「私(I)」としての体験にアクセスできるようになると、感情は変化すると指摘します。客観的な「私(me)」としての自己イメージに反応するのではなく、「私(I)」が自分の感情に注意を向けることで、感情を変化させることが可能になるのです。

クライエント中心療法においては、セラピストがクライエントの語る物語を共感的に聞くことで、クライエントが主観的⽂脈にアクセスしやすくなります。ジムリングは、共感的な理解によってクライエントは「Me(客観的な⾃⼰)」から「I(主観的な⾃⼰)」へと変化し、それによって「I」が成⻑すると説明しています。セラピストがクライエントの「最も個⼈的で、独⾃な側⾯」に応答し、その妥当性を確認することで、クライエントは自分の「意図」や「内的世界」、つまり「内的視点」の妥当性を信じるようになり、「外的視点」に基づいてではなく、「内的視点」から応答するようになるとされています。

このように、ジムリングは自己概念の変化を、固定的な自己の発見ではなく、新しい文脈へのアクセスと、「私(I)」としての主観的な体験への気づき、そしてそれを通じた感情の変化として説明しています。クライエント中心療法におけるセラピストの共感的な傾聴が、この変化を促進する重要な役割を果たすと考えられています.

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