ロジャーズ48 自己は常に変化する
西洋文化に生まれた場合、「埋もれた葛藤」という考え方が文化的な遺産として受け継がれています。つまり、「心の中に何か問題のあるもの(傷ついたインナーチャイルド・抑圧された記憶・見捨てられたトラウマなど)が存在し、それを意識の光にさらさなければ、心理的な不適応は解消されない」という前提があるのです。
ジムリングの理論では、「自己」はロジャーズのいう「内的な視点」と同じような現象的な文脈の中に存在するものですが、その文脈は常に「構築中」であると考えます。
「自己は常に変化する」
「これまでの伝統的な考え方では、私たちの経験は『内面の意味や反応によって決まる』とされてきました。」
「つまり、もし私たちが気分が悪いと感じた場合、それは『まだ意識できていない何らかの内面的な意味が、その経験に影響を与えている』と考えられてきました。」
「しかし、新しい考え方では、私たちの経験はまったく異なる要因から生じるものとされます。それは、『今、置かれている状況の文脈』によって決まるのです。」
「私たちは、ある文脈ではこう感じ、別の文脈では違うふうに感じるのです。」(1995, p. 41)
「隠された感情」や「意識されていない感情」を探る必要はなく、むしろクライエントの「現在の状況の文脈」に焦点を当てることが重要