ロジャーズ50 ジムリング

ロジャーズ50 ジムリング
ジムリングによれば、主観的文脈の中では、私たちは「反応の質」、つまり「その瞬間の新鮮さ」「個人的な関連性」「生き生きとした実感」に注意を向けています
この瞬間、私たちは、客観的文脈の持つ「論理」「因果関係」「成功・失敗」といった基準から自由になります。
主観的文脈を体験することで、「内的評価の基準」へのアクセスが可能となり、道徳的な評価や病理的な判断から解放されるのです

「客観的文脈」と「主観的文脈」の違い
「私(I)」と「私(me)」の違い

クライエント中心療法では、クライエントの語る物語に注意を払い、それを丁寧に理解しようとすることによって、主観的文脈を暗黙的に認めることができるのです。

自己は「視点」や「行動」によって形成されるのであり、行動を決定する固定的な実体として存在しているわけではない

自己の変化は『隠された真の自己を発見すること』によって起こるのではなく、『視点と語りの変化』によって起こる

自己は固定的な実体ではなく、「語り」と「視点」の中に存在する
自己の変化は、「隠された真の自己」を発見することではなく、「新しい文脈を持つこと」によって起こる
クライエントが「私(I)」としての体験にアクセスできるようになると、感情は変化する
セラピストはクライエントの語りを尊重することで、クライエントが主観的文脈にアクセスしやすくなる

この理論は、クライエント中心療法の実践において、「クライエントの語りを共感的に聞くことが、自己の変化を促す」という重要な示唆を与えています。

「主観的文脈」へのアクセスの困難さを変化させる
一部のクライエントにとって、クライエント中心療法の「促進的な対人関係の文脈」の中で、自分自身の「主観的な内的文脈」と接触することは、難しい移行であり、時間がかかる場合があります。

しかし、時間が経つにつれて、クライエントはその文脈にアクセスしやすくなり、それを表現する能力も向上していきます。

最初は「I(私)」としての自己が、セラピーの中でのみ感じられる状態だったのが、次第に他の状況でも現れるようになってくるのです。

クライエントが「自分が他の何ものでもなく、唯一無二の存在として受け入れられている」と感じることは、自己体験を強化し、変化を促します。

このとき、クライエントは「社会的なカテゴリー」「心理学理論」「道徳的原則」など、何かの「例」として扱われるのではなく、まさに「その人自身」として受け入れられるのです

共感的理解が「Me」から「I」への移行を促す
共感的な理解によってクライエントは**「Me(客観的な自己)」から「I(主観的な自己)」へと変化し、それによって「I」が成長する」

「このプロセスが起こると、人は自分の『意図』や『内的世界』、つまり『内的視点』の妥当性を信じるようになります。」
「すると、人は『外的視点』に基づいてではなく、『内的視点』から応答するようになります。」
「自分を『Me(対象としての私)』ではなく、『I(主体としての私)』として認識するようになると、自己体験が変化するのです。」(Zimring, 2000, p. 112)

「主観的文脈」へのアクセスは、一部のクライエントにとって困難なプロセスであり、時間がかかることがある
セラピーの中で形成された「I(主体としての私)」が、徐々に他の場面でも現れるようになる
セラピストの共感的な応答によって、クライエントは「Me(客観的な自己)」から「I(主観的な自己)」へと変化する
クライエント中心療法は、他の心理療法とは異なり、特定の技法や目標設定を用いず、「非指示的な態度」を大切にする
「クライエントがセラピーの設計者である」ことを尊重し、「自己決定権」を守ることが、クライエントの成長にとって重要である

クライエント中心療法は、技法を用いるのではなく、「クライエントが自己の主観的世界にアクセスできるようにする」ことによって、自己の変化を促すアプローチである

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