ロジャーズ59 プロセス体験的な介入(process-experiential interventions)
プロセス体験的な介入(process-experiential interventions)とクライエント中心的な関係条件(client-centered relationship conditions)を比較研究
プロセス体験的な介入(process-experiential interventions)とは、来談者中心療法(パーソン・センタード・セラピー)と感情焦点療法(Emotion-Focused Therapy; EFT)に基づく心理療法的アプローチの一つであり、クライエントが自己の体験や感情を深く処理し、それに気づき、変容することを促す介入方法です。
このアプローチでは、クライエントの内的プロセスを重視し、特に以下の点に焦点を当てます:
- 感情の探求と深化
- クライエントが自身の感情に気づき、言語化し、それをより深く体験することを促します。
- 例えば、「今どんな気持ちですか?」と問いかけ、さらにその感情の背景を探るような対話を行います。
- 内的体験の促進
- クライエントが現在の感情や思考に集中できるよう支援します。
- たとえば、フォーカシング(Gendlin, 1978)を用いて、身体感覚を通じて深い内面の気づきを促す技法が使われます。
- 意味づけの変容
- クライエントが自分の経験に新たな意味を見出すのを助けます。
- 例として、過去のトラウマ的な経験について、新しい視点を持つことでその影響を乗り越える支援を行います。
- 体験を通じた変化の促進
- ただ話すだけでなく、実際に感情を「体験する」ことによって自己の変化を促します。
- たとえば、椅子技法(empty-chair technique)を用いて、未解決の感情を表現し、処理する機会を提供します。
プロセス体験的な介入は、単に認知的な理解にとどまるのではなく、クライエントが「今、ここ」で体験する感情や思考を重視し、それを変容させることで、より適応的な心理的成長を促す点が特徴です。