ロジャーズ65 新しい「気づき」
体験の深まり
クライアント中心療法では、このようにして、クライアントの内面的な体験が自然に展開していきます。「感じていたけれど、まだ言葉にできなかった感覚」が、セラピストの共感的な関わりを通して言葉となり、新しい「気づき」が生まれるのです。
しかし、感情を深めることがセラピストの「目的」ではありません。感情の焦点化を意図的に促す「プロセス指向の療法」や「感情焦点化療法」とは異なり、クライアント中心療法においては、こうした変化は偶然に、意図せずに起こります。セラピストの役割は、クライアントの語ることを正確に理解し、それを表現することだけです。