CT48 Narcissistic Injury and Its Treatment

「自愛的傷つき」について。

この資料によりますと、自愛的傷つきは、屈辱、恥、そして怒りの感情を伴う核となる自己への痛みとして定義されています。さらに、この定義は拡張され、私たちが愛し同一視する人々の屈辱に対する恥も含まれます。

自愛的傷つきの特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 核となる自己への痛み: 生きる場所、アイデンティティ、自己イメージ、自我理想、自尊心を脅かす痛みであり、核心に達する痛みです.
  • 感情的反応: 傷つき、恥辱、そして怒りが主な感情的反応です. これらの感情は、意識的に経験されることもあれば、そうでないこともあります.
  • 自尊心の低下: 自愛的傷つきは必然的に自尊心を低下させ、自己感覚を混乱させます.
  • 非自愛的傷つきとの対比: 例えば、骨折の痛みは激しいですが、自己の理想や自尊心を直接脅かすものではないため、通常は自愛的傷つきとして経験されません. 一方、喧嘩に負けることや、学業で失敗することは、自尊心を低下させ、恥や怒りを引き起こすため、自愛的傷つきとなります.

資料には、自愛的傷つきの具体的な例も示されています。

  • フロイトが父親から非ユダヤ人から侮辱された話を聞き、父親が抵抗しなかったことに恥を感じた経験. この経験はフロイトにとって非常に深い自愛的傷つきであり、彼の理論形成にも影響を与えたと考えられています.
  • 強制収容所の生存者の女性が、病気になった夫が以前のような保護者としての役割を果たせなくなったことで、ナチスの攻撃に直面した両親の無力さを思い出し、深い自愛的傷つきを経験した事例.
  • 患者が幼い頃に、失業して「鞭打たれた犬のように」帰宅する父親を目撃し、後に母親がそのように父親を表現したことに激しい痛み(深い自愛的傷つき)を感じた事例. 患者は愛する父親をそのような存在として考えたくなかったのです.

この資料は、自己愛的傷つきが、些細な拒絶から死すべき運命の圧倒的な認識まで、あらゆる形と大きさで現れると述べています。私たちの死すべき運命の認識こそが、究極かつ最も深い自愛的傷つきを与えるとも言及されています.

また、心理療法の患者であること自体が自愛的傷つきとなる可能性についても議論されています。セラピストによる避けられない不完全な調和、セラピストの逆転移的な憎しみ、セラピストの自己愛と誇大さ、救世主的な努力と誤った癒しへの情熱などが、患者であることの自愛的傷つきに寄与する可能性があります。セラピストもまた、患者の所有的な愛、コントロール欲求、憎しみ、価値下げなどの対象となり、傷つくことがあります。

自愛的傷つきの治療においては、傷によって引き起こされる感情が意識化され、投影や行動化されるのではなく、所有され、徹底的に扱われることが重要です。特に恥と怒りへの対処が重要であり、自己愛的怒りは自己に向けられ、自殺的な抑うつを引き起こす可能性があるとされています. 患者の自尊心を高めることは治療的に有効ですが、それだけでは十分ではなく、傷によって生じた感情に向き合う必要があります.

さらに、先行する過度の自己愛的脆弱性のために傷が深く裂けている場合には、脆弱な自己構造の修復、すなわち自我の強化が必要となる場合もあります.

このように、自愛的傷つきは、私たちの核となる自己や自尊心への深い痛みを伴うものであり、日常生活の様々な場面で経験されうるだけでなく、心理療法においても重要な考慮事項となる概念であることがわかります。

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「精神分析療法」について。

この資料によりますと、精神分析は、人生が苦痛に満ちていることを証明したわけではありません。怪我、喪失、拒絶、そして死は、私たちの地上の旅路につきものの避けられない要素であると認識しています。精神分析は主にその苦痛を軽減しようとするものであり、フロイトは精神分析的心理療法の目的を「神経症的な苦悩を普通の人間の不幸に変えること」だと述べています。これは過度な約束をしないという点で美徳があるとされています。

この本は自己愛的傷つきとその治療に関するものであり、精神分析療法においても、患者は「残酷な運命の矢や投石」に対する何らかの癒しを求めてやってきます。セラピストは、洞察、悲しむ間の伴走、何らかの回復への希望などを提供できる可能性がありますが、その答えは必ずしも明白でも簡単でもありません。

セラピストは患者から痛みを和らげるよう強く求められることがありますが、提供できるものは患者が望むものではない場合も多く。セラピストの逆転移反応は様々であり、悲しみ、無力感、思いやり、満たせない要求に対する怒りなどが生じることがあります。

資料では、自己愛的傷つきの治療自体が自己愛的傷つきとなりうることが強調されています。これは患者にとってそうであり、セラピストにとっても稀ではありません。セラピストは患者を傷つけることを避けられず、傷つきは患者であるという役割そのものに組み込まれています。さらに、セラピストの避けられない不完全な調和、逆転移的憎しみ、自己愛と誇大さ、救世主的な努力と誤った癒しへの情熱などが、患者であることの自己愛的傷つきに寄与します。

セラピストもまた、患者の所有的な愛、コントロールしたいという欲求、憎しみ、価値下げ、原始的理想化、軽蔑の対象となり傷つきます。役に立っていないと感じることもあります。転移-逆転移の結合の中で与えられる自己愛的傷つきは、治療の機会であると同時に、最小限に抑える必要があるものです。患者は傷つけられるために来るのではなく、私たちの目標は、患者であることの避けられない傷から最大の治療効果を得ると同時に、それらの傷を最小限に抑えることでなければなりません。

伝統的な精神分析においては、先行する過度の自己愛的脆弱性のために傷が深く裂けている場合、脆弱な自己構造のある程度の修復、自我の強化が必要とされることがあります。自己愛的脆弱性の軽減は治療の望ましい結果ですが、新たな傷への脆弱性を減少させるものです。自己愛的傷つきの治癒を促進する鍵は、患者の自尊心を高めることです。しかし、自尊心を高めるだけでは十分ではなく、傷によって引き起こされる感情は意識化され、所有され、徹底的に扱われなければなりません。特に恥と怒りへの対処が重要であり、自己愛的怒りは自己に向けられ、抑うつを引き起こす可能性があるとされています。

フロイトは、自己(自我)は放棄された対象カセクシスの沈殿物であると述べており、私たちが愛するものを自分自身の一部にすることによってのみ、それを手放すことができるという概念を示唆しています。つまり、自己は対象愛着の内在化を通じて構築されると考えられます。また、自己は「第一に、そして最も重要なのは身体的自己である」とも述べており、自己意識における身体感覚の重要性を強調しています。フロイトにとって、自己は私たちが愛する人々との同一化と身体感覚という構成要素を持つ統合体であり、継続的で発達的なものです。フロイトは、「自己のような複雑な統一体は、個人の中に最初から存在することはできない」と述べています。

晩年のフロイトは「防衛のための自我の分裂」という論文で、自己における分裂という重要な概念を示しました。抑圧、否認、投影、否定などの防衛によって、多くの種類の分裂が引き起こされると考えられ、自己の統合は当然のことではなく、達成すべきものであり、分析療法の目的の一つはその統合をもたらすことです。フロイトは「イド(それ)があったところに、自我(私)があるべきである」と述べ、その「私」の否認され分裂した部分が取り戻されるまで、「私」はあり得ないとしました。

精神分析療法の課題は、「それ」から「私」への変換、生物学的に与えられたものから個人的なものへの変換、自分の人生の事実性を所有することであるという考えが繰り返し現れます。ウィニコットはこれを治療的課題ではなく発達的課題として「個⼈化」と呼んでいます。自己の統合が療法の本質であるという考えは、現代の生物学的精神医学の潮流の中で、精神療法の根拠を提供するものとされています。

コフートの自己心理学は、ナルシシスティック・パーソナリティ障害の患者との仕事から生まれました。彼の理論では、自己は空間的に結合し時間的に持続する単位であり、人間経験の組織化された、また組織化する中心として経験されます。自己はより結合的またはより断片化しやすく、結合的な自己は境界があり、継続的で、中心があり、活動的だと感じ、行為主体性の感覚を持っています。コフートはイド、自我、超自我における自己表象としての自己を認めていますが、彼の強調点は自己性の感覚、全体性の生きた経験、その経験につながる人間相互作用のプロセス、そして自己の形成不全をもたらす変遷にあります。

エリクソンのアイデンティティ形成の理論も、精神分析的視点から自己の理解に関連するものです。彼はアイデンティティが同一化から来ると考え、私たちは様々な人々や大義との同一化の統合された複合体になると述べています。

このように、精神分析療法は、神経症的な苦悩をより普遍的な人間の不幸へと変容させることを目指し、自己愛的傷つきの治療においては、傷つきの感情への意識的な取り組み、自尊心の向上、そして自己の統合を重視します。治療過程自体が自己愛的傷つきを引き起こす可能性を認識し、それを最小限に抑えることも重要な課題となります。

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「感情的反応」について。

この資料によりますと、自愛的傷つきに対する主な感情的反応は、傷つき、恥辱、そして怒りです。これらの感情は、意識的に経験されることもあれば、そうでないこともあります

資料では、感情的反応に関して以下の点が述べられています。

  • 自愛的傷つきの三つの感情的な相関物として、傷つき、恥、そして怒りが挙げられています。
  • 自愛的傷つきは常に自尊心を低下させ、恥、屈辱、怒りという感情状態を引き起こします。
  • 自愛的傷つきによって引き起こされる、低下した自尊心、恥、屈辱、怒りは、しばしばそらされ、孤立し、分裂し、投影され、行動化され、または抑圧されます。これらの防衛自体がさらに自愛的傷つきを生み出し、複雑化させます。
  • 尊敬される自己対象、特に両親の屈辱は、の感情を伴う自愛的傷つきとなります。フロイトが父親の非英雄的な行動を聞いて恥に圧倒された例、強制収容所の生存者の女性が両親の無力さを思い出して深い自愛的傷つきを経験した際に屈辱を感じた例、患者が母親の言葉から父親の屈辱を感じて激怒した例 などが挙げられています。
  • 自愛的傷つきの治療においては、傷によって引き起こされる感情が意識化され、投影や行動化されるのではなく所有され、そして徹底的に扱われることが重要です。
  • 特に恥と怒りへの対処が重要です。自己愛的怒りはしばしば自己に向けられ、その結果、自殺的な程度の激しい抑うつを引き起こすことがあります。

精神分析療法においては、セラピスト自身の逆転移反応として、悲しみ、無力感、思いやり、満たせない要求に対する怒りなど、様々な感情が生じることがあります。

資料に示された例からも、自愛的傷つきは単なる出来事による痛みだけでなく、それに伴う感情的な反応が自己の核心に深く影響を与えることが理解できます。治療においては、これらの感情に焦点を当て、意識化し、適切に処理していくことが、癒しにとって不可欠であると言えるでしょう。

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「自己表象」について。

この資料において、「自己表象」は精神分析の重要な概念として、特にハルトマン、ヤコブソン、カーンバーグといった理論家によって深く掘り下げられています。

まず、ハインツ・ハルトマンは、フロイトが萌芽的に示唆していた自己の概念を発展させ、「自己」、「自己表象」、「自我」を明確に区別しました。

  • ハルトマンにとって、自己とは個人の身体的および精神的存在そのものです。それは、鏡で見る自分の姿や、自分のものとして認識する意識の流れを指します。自己は世界に存在し、公的あるいは少なくとも潜在的に公的なものです。
  • 対照的に、自己表象とは、自己の身体や精神の内的精神的表象です。それは、経験を組織する中心となる構成体であり、様々な自己記述や自己概念と関連しますが、完全に同一ではありません。自己概念は意識的または前意識的であるのに対し、ハルトマンの自己表象は力動的に無意識である可能性もあります。つまり、心理的な理由で意識にアクセスできない場合があるということです。ハルトマンは、複数の自己表象が存在し、それらが必ずしも一貫しているとは限らないことを指摘しています。

エディス・ヤコブソンは、ハルトマンの自己表象理論に情緒性を組み込みました。

  • 彼女は自己を個人の全体(身体、精神的組織、およびそれらの各部分を含む)と定義する一方で、自己表象をシステム自我における身体的・精神的自己の無意識的、前意識的、および意識的な内的精神的表象と定義しました。
  • ヤコブソンの重要な貢献は、これらの自己表象が純粋に認知的なものではなく、常に情緒的な質を持っていると強調した点です。つまり、自己表象は常に、程度の差はあれ、「愛される」か「嫌われる」という感情によって彩られています。
  • 彼女は、人間発達の初期段階には、自己表象と対象表象、およびリビドーと攻撃的衝動が未分化な「原初的な心身的母体」が存在すると考えました。自己表象が生じると、それらは常にリビドーまたは攻撃性という二つの基本的衝動のいずれかによって「カセクト(備給)」されます。
  • ヤコブソンは、自己表象の複数性が、自己表象間、特に意識的(または前意識的)表象と無意識的表象との間の潜在的な対立の可能性を開くと指摘しました。これは、防衛目的のためのフロイトの自己(自我)の分裂を異なる方法で概念化するものです。

オットー・カーンバーグは、ヤコブソンの自己表象と対象表象の概念を用いて、対象関係の発達における4つの段階を描き出しました。

  • 彼は、未分化な母体から始まり、発達の段階が進むにつれて、自己表象と対象表象が分化し、肯定的なものと否定的なものが形成されます。
  • カーンバーグの第四段階では、自己表象と対象表象が統合され、安定した自己表象と対象恒常性が確立します。これは、満⾜と欲求不満の両⾯の経験を統合した、差別化された情緒的に複雑な自己表象と対象表象がシステム自我の正常な構成要素となる状態です。
  • 発達がうまくいかない場合、前分化段階への固着や、**誇大自己と呼ばれる病理的な自己構造(表象)**の発達が起こるとカーンバーグは想定しています。この誇大自己は、理想的自己、現実的自己、理想的対象表象の病的な凝縮であり、現実的自己表象と理想的自己表象の間の心内的対立を生み出す可能性があります。

このように、「自己表象」は、私たちが自分自身をどのように心の中で捉えているかという、主観的で感情を帯びたイメージです。それは発達の過程で形成され、対象関係を通して変化していきます。自己愛的傷つきは、この核となる自己表象に深い影響を与え、自尊心の低下や恥、怒りといった感情を引き起こす可能性があります。精神分析療法においては、これらの自己表象を探求し、統合していくことが、自己愛的傷つきの治療において重要な側面となります.

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「対象関係」について。

この資料において、「対象関係」は精神分析における重要な概念であり、特にエディス・ヤコブソンオットー・カーンバーグによって詳細に議論されています。

「対象関係」とは、一般的に、自己と重要な他者(対象)との間の心理的な関係性を指します。これは、単なる外界の人物との関係だけでなく、内的に取り込まれた他者の表象(内的対象)との関係も含みます。

資料で「対象関係」に直接的に言及している主な箇所はカーンバーグの議論です。カーンバーグは、ヤコブソンの自己表象と対象表象の概念を用いて、対象関係の発達における4つの段階を描き出しています。

  • 第一段階:未分化の母体。これは、人間発達の初期段階であり、自己表象と対象表象、およびリビドーと攻撃的衝動がまだ分化していない状態です。ヤコブソンはこの段階を「原初的な心身的母体」と呼んでいます。カーンバーグは、満足の記憶痕跡と欲求不満の記憶痕跡がまだ区別されていないとしています。
  • 第二段階:自己対象表象。この段階では、自己と対象はまだ明確に区別されていませんが、情緒的に彩られた「自己対象」という内的精神的構造が存在します。これらは満足(リビドーによってカセクトされた)と欲求不満(攻撃的にカセクトされた)の経験に関連付けられた自己対象表象であり、「私」と「非私」、自己と世界を区別しません。
  • 第三段階:自己表象と対象表象の分化。この段階で、自己表象と対象表象が明確に区別され、以下の4つの内的精神的構造が生じます:
    • 肯定的な(リビドーによってカセクトされた)自己表象
    • 否定的な(攻撃的にカセクトされた)自己表象
    • 肯定的な(リビドーによってカセクトされた)対象表象
    • 否定的な(攻撃的にカセクトされた)対象表象 この段階では、自己と対象は区別されますが、満足と欲求不満の経験を反映する自己表象と対象表象はまだ統合されていません。例えば、養育者は「良い養育者」と「悪い養育者」として別々に経験され、「良い自己」と「悪い自己」も同様に、同じ自己として経験されません。カーンバーグは、この段階への固着または退行が境界性病理をもたらす可能性があると指摘しています。境界性パーソナリティ障害の特徴として、対人関係における深刻な困難、感情の混乱、衝動性の高さなどが挙げられています。
  • 第四段階:自己表象と対象表象の統合。この段階では、肯定的な自己表象と否定的な自己表象、および肯定的な対象表象と否定的な対象表象が統合されます。この統合の成功は、安定した自己表象と対象恒常性をもたらします。対象恒常性とは、必要な状態に関わらず、対象の一貫した精神的表象にリビドー的なカセクシスが存在することを意味し、愛情深くとも欠点のある養育者の安定した内的表象を持つことで、欲求不満に耐えられるようになります。同様に、自己表象に対する主要なリビドー的なカセクシスにより、堅固なアイデンティティ感覚が生まれます。

ヤコブソン自身も、人間発達の初期において、自己表象と対象表象が未分化な「原初的な心身的母体」が存在すると述べています。彼女は、この未分化な状態から、自己表象と対象表象が徐々に分化していく過程を重視しています。

マーガレット・マーラーは、直接的に対象関係の用語を使用していませんが、彼女の分離-個体化の理論は、自律的なアイデンティティや自己性の感覚の確立という点で、対象関係の発達を異なる視点から記述しているとされています。マーラーは、乳児が自己感覚や対象感覚なしに始まり、欲求とその充足のみが存在する状態から、徐々に母親とは別の人間としての永続的なアイデンティティを獲得する過程を、分化、練習、再接近、適切な分離-個体化という下位段階で特徴づけています。

ハインツ・コフートの自己心理学においては、初期の発達段階における自己対象という概念が重要です。自己対象とは、幼児が養育者(通常は母親)を、自分自身の機能の一部として経験する対象のことです。コフートによれば、幼児は非常に早い段階で断片化された自己感覚を発達させますが、自己対象との経験を通して、原始的な核の自己が形成されます。健全な発達においては、自己対象の機能が徐々に内面化され、「精神構造」として自己の一部となっていきます。

エリク・エリクソンは、自己ではなくアイデンティティについて議論していますが、彼によれば、アイデンティティは親、兄弟姉妹、仲間といった人々との同一化の統合された複合体から生まれるとされています。この意味では、エリクソンの理論も広義の対象関係の視点を含んでいると言えるでしょう。

資料では、自愛的傷つきと対象関係の関連についても示唆されています。尊敬される自己対象、特に両親の屈辱は、子どもにとって深い自愛的傷つきとなる例が挙げられています。フロイトが父親の非英雄的な行動を聞いて恥に圧倒された経験や、強制収容所の生存者の女性が両親の無力さを思い出して深い自愛的傷つきを経験した例などが、この関連性を示しています。これらの例は、重要な他者との関係性やその表象が、自己の感覚や自尊心に深く影響を与えることを示唆しています。

このように、対象関係は、私たちが他者とどのように関わり、それらの関係が私たちの内的な世界、特に自己表象の発達や安定にどのように影響を与えるかを理解する上で、精神分析において中心的な概念の一つです。発達の初期段階における対象関係の質は、その後のパーソナリティ形成や精神病理の理解に重要な意味を持つと考えられています。

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自己愛的傷つきの性質、その治療、そして治療過程における患者とセラピスト双方への影響について考察しています。レヴィンは、人生における避けられない自己愛的傷つきに加え、心理療法そのものが自己愛的傷つきとなり得る点を強調し、セラピストがこれらの傷つきを最小限に抑え、患者の癒しを支援するための方法を探求します。自己、自己愛に関する様々な精神分析理論を紹介しつつ、自己愛的傷つきを核となる自己への傷として定義し、その治療における多角的なアプローチの必要性を説いています。

主なテーマと重要なアイデア:

  1. 自己愛的傷つきの定義と性質:
  • 自己愛的傷つきは、単なる痛みや苦痛とは異なり、「核⼼を突く痛み、私たちの⽣きる場所を襲う痛み、私たちのアイデンティティや⾃⼰イメージ、⾃我理想や⾃尊⼼を脅かす痛み」と定義されます。
  • その感情的な反応は、「傷つき、恥辱、そして怒り」です。
  • 人生のあらゆる段階(「⼦宮からの無礼な追放から、通常は不本意なこの世からの退場まで」)で避けられない自己愛的傷つきが存在します。
  • フロイトの言葉を引用し、「神経症的な苦悩を普通の⼈間の不幸に変えること」が精神分析的心理療法の目的であるとし、過度な約束をしない姿勢を示しています。
  1. 心理療法における自己愛的傷つき:
  • 心理療法の患者であること自体が「特別な種類の⾃⼰愛的傷つき」となり得ます。
  • セラピストは患者を傷つけることを避けられず、その傷つきは「患者であるという役割そのものに組み込まれています」。
  • セラピストの避けられない不完全さ、逆転移的な憎しみ、自己愛と誇大さ、救世主的な努力などが、患者の自己愛的傷つきに寄与する可能性があります。
  • セラピスト自身も、患者の所有的な愛、コントロール欲求、憎しみ、価値下げ、原始的な理想化、軽蔑などによって傷つけられます。
  • 治療の目標は、「患者であることの避けられない傷から最⼤の治療効果を得ると同時に、それらの傷を最⼩限に抑えること」です。
  1. 自己と自己愛の概念:
  • 「⾃⼰の本質は厄介な問題」であり、哲学、心理学、精神分析において多様な解釈がなされてきました。
  • 自己(self)は、主体、I(私)、me(私)であり、非我に対立するものとして定義され、「同じ」であるという概念を伴います。
  • 自己愛(narcissism)は常に自己への愛を指し、自己愛的傷つきは「⾃分⾃⾝への愛の何らかの減少、私たちの⾃尊⼼の何らかの混乱」を伴います。
  • 自己愛的傷つきは常に自尊心を低下させ、「恥、屈辱、怒り」を引き起こします。
  1. 自己愛的傷つきの治療:
  • 治療は「傷の各構成要素に対処しなければなりません」。
  • 先行する過度の自己愛的脆弱性がある場合、「脆弱な⾃⼰構造のある程度の修復」、つまり自我の強化が必要です。
  • 自己愛的脆弱性の軽減は、新たな傷への脆弱性を減少させる効果があります。
  • 自己愛的傷つきの治癒を促進する鍵は、「患者の⾃尊⼼を⾼めること」です。
  • 傷によって引き起こされる感情(特に恥と怒り)は「意識化され、投影されたり⾏動化されたりするのではなく所有され、そして徹底操作されなければなりません」。
  1. 非自己愛的傷つきとの対比:
  • 例として、馬から落ちて手首を骨折した経験は激しい痛みと不便さを伴いましたが、「⾃我理想の⼀部ではなく」、自尊心の喪失もなかったため、自己愛的傷つきではありませんでした。
  • 一方、友人との口論で鼻を殴られた経験は、痛み自体は骨折ほどではありませんでしたが、「喧嘩に勝つことを気にしていた」ため自尊心が低下し、「矮⼩化されたと感じ」、恥、屈辱、怒りを感じたため、自己愛的傷つきとされました。
  1. 尊敬される自己対象の屈辱の影響:
  • フロイトの父親が非ユダヤ人から侮辱された際に抵抗しなかった話を聞いたフロイトは「恥に圧倒されました」。これは「衝撃的な幻滅」であり、フロイトにとって深い自己愛的傷つきとなりました。
  • 強力な保護者としての役割を果たせなくなった夫の病気が、強制収容所の生存者である患者に両親の無力さを想起させ、深い自己愛的傷つきを引き起こした事例が紹介されています。
  1. 自己概念の多様な理論:
  • 文書は、自己に関する様々な哲学的および精神分析学的理論を概観しています。
  • 前精神分析理論: 古代ヒンドゥー教、プラトン、ストア派、聖アウグスティヌス、デカルト、パスカル、ロック、ヒューム、カント、ヘーゲル、キェルケゴール、ジェームズなどの自己概念を紹介。
  • 精神分析的自己理論: フロイト(自我)、ユング(自己)、ハルトマン(自己表象)、ヤコブソン(自己表象の情緒的彩⾊)、カーンバーグ(対象関係の発達と誇⼤⾃⼰)、コフート(両極の⾃⼰と自己対象)、エリクソン(アイデンティティ)らの理論を解説。

注目すべき引用:

  • 「フロイトは精神分析的⼼理療法の⽬的は『神経症的な苦悩を普通の⼈間の不幸に変えること』だと書いています。」
  • 「⾃⼰愛的傷つきは特別な種類の痛み̶核⼼を突く痛み、私たちの⽣きる場所を襲う痛み、私たちのアイデンティティや⾃⼰イメージ、⾃我理想や⾃尊⼼を脅かす痛みです。」
  • 「セラピストは患者を傷つけることを避けられません︓傷つきは患者であるという役割そのものに組み込まれています。」
  • 「⾃⼰愛的傷つきは常に⾃尊⼼を低下させ、恥、屈辱、怒りという感情状態を引き起こします。」
  • 「⾃我(⾃⼰)は放棄された対象カセクシスの沈殿物である。」(フロイト)
  • 「イド(それ)があったところに、⾃我(私)があるべきである。」(フロイト)
  • 「核の⾃⼰の基本は、精神構造の選択的な包含と排除が同時に、あるいは連続的に起こるプロセスによって形成される。」(コフート)
  • コフートによる自己の定義:「空間的に結合し時間的に持続する単位として定義し、それは主導権の中⼼であり、印象の受け⼿でもあります。」

結論:

レヴィンの著作からのこの抜粋は、自己愛的傷つきが人生における普遍的な経験であり、心理療法においても重要な考慮事項であることを示しています。セラピストは、患者自身の傷つきだけでなく、治療過程で生じる可能性のある傷つきにも意識的である必要があります。自己と自己愛に関する深い理解と、患者の自尊心を高め、傷つきに伴う感情を適切に処理する治療的アプローチが、自己愛的傷つきからの癒しを促進するために不可欠です。様々な精神分析理論の紹介は、自己愛的傷つきの複雑さと、その治療における多角的な視点の重要性を強調しています。

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⾃⼰愛的傷つきとは何ですか?

⾃⼰愛的傷つきは、私たちの核⼼的な⾃⼰、つまりアイデンティティ、⾃⼰イメージ、⾃尊⼼、⾃我理想を脅かす特別な種類の痛みです。それは、私たちが⽣きる場所を直接攻撃するような深く、中⼼的な痛みであり、傷つき、恥辱、怒りの感情を引き起こします。また、私たちが愛し、同⼀視する⼈々の屈辱に対する恥も含まれます。

⾃⼰愛的傷つきは、通常の苦痛とどのように異なりますか?

通常の苦痛(例えば、⾻折による痛み)も苦しいものですが、必ずしも⾃⼰と⾃尊⼼に直接的な影響を与えるとは限りません。⼀⽅、⾃⼰愛的傷つきは、私たちの存在の根幹を揺るがし、⾃尊⼼を低下させ、恥や怒りといった感情を伴います。たとえ些細な拒絶であっても、私たちの⾃⼰感覚を深く傷つける可能性があります。

精神分析は⼈⽣の苦痛に対してどのような⽴場を取っていますか?

精神分析は、⼈⽣には怪我、喪失、拒絶、死といった避けられない苦痛が伴うことを認識しています。その主な⽬的は、これらの苦痛を完全に取り除くことではなく、「神経症的な苦悩を普通の⼈間の不幸に変えること」です。つまり、苦痛を理解し、それに対処するための⼿助けを提供することを⽬指しています。

セラピストは⾃⼰愛的傷つきの治療において、どのような役割を果たしますか?

セラピストは、患者が⾃⼰愛的傷つきを統合し、悲しみ、癒されるのを⽀援します。これには、患者の苦しみを理解し、共に歩むこと、洞察を提供すること、そして回復への希望を与えることが含まれます。しかし、セラピストが患者の望むものを常に提供できるとは限らず、時にはセラピー⾃体が患者とセラピスト双方にとって⾃⼰愛的傷つきとなる可能性もあるため、注意が必要です。

セラピーは、患者とセラピストの双方にどのような⾃⼰愛的傷つきをもたらす可能性がありますか?

患者にとって、セラピーそのものが⾃⼰愛的傷つきとなることがあります。それは、患者であるという役割に組み込まれた避けられない側面であり、セラピストの不完全な共感、逆転移的な感情、⾃⼰愛や誇⼤さ、救世主的な努力などが原因となり得ます。セラピストも、患者の所有的愛、コントロール欲求、憎しみ、価値下げ、原始的な理想化、軽蔑の対象となることで傷つくことがあります。

⾃⼰愛的傷つきの治療において、最も重要な要素は何ですか?

⾃⼰愛的傷つきの治療において重要なのは、傷によって引き起こされる感情(特に恥と怒り)を意識化し、受け⼊れ、理解することです。また、患者の⾃尊⼼を高めることも重要ですが、感情への対処と並行して行う必要があります。脆弱な⾃⼰構造がある場合には、ある程度の修復(⾃我の強化)も必要となることがあります。

⾃⼰愛的傷つきの感情的な反応には、どのようなものがありますか?

⾃⼰愛的傷つきに対する主な感情的な反応は、傷つき、恥辱、そして怒りです。これらの感情は、表⾯化することもありますし、そらされたり、孤⽴したり、分裂したり、投影されたり、⾏動化されたり、抑圧されたりすることもあります。⾃⼰愛的怒りは、しばしば⾃⼰に向けられ、重度の抑うつを引き起こす可能性もあります。

尊敬する⼈物の屈辱が、⾃⼰愛的傷つきを引き起こすのはなぜですか?

私たちが愛し、同⼀視する⼈々(特に親)の屈辱を⽬撃したり聞いたりすることは、私たち自身の⾃尊⼼や⾃⼰イメージに深刻な影響を与え、恥の感情を引き起こすことがあります。これは、あたかも自分自身が屈辱を受けたかのように感じられるため、深い⾃⼰愛的傷つきとなります。尊敬する人物の無⼒さや弱さを⾒ることは、私たちの理想化されたイメージを打ち砕き、幻滅感をもたらします。

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自己愛的傷つきとその治療:学習ガイド

クイズ

  1. レヴィンは、精神分析的心理療法の目的をどのように説明していますか?また、彼は現代のメンタルヘルス業界の風潮についてどのような懸念を持っていますか?
  2. 自己愛的傷つきは、他の種類の痛みとどのように区別されますか?自己愛的傷つきによって引き起こされる主な感情反応は何ですか?
  3. なぜ心理療法の治療自体が自己愛的傷つきとなる可能性があるのですか?セラピストと患者の双方にとって、その傷つきの性質を説明してください。
  4. フロイトは自己(自我)についてどのような興味深い考察をしましたか?特に、対象カセクシスとの関連で彼の考えを説明してください。
  5. ハルトマンは、自己、自己表象、自我をどのように区別しましたか?彼の自己表象の概念は、後の精神分析の文献にどのような影響を与えましたか?
  6. ヤコブソンは、ハルトマンの自己表象の理論にどのような要素を加えましたか?特に、感情的な彩色の重要性について説明してください。
  7. カーンバーグは、対象関係の発達における自己と対象の表象の統合について、どのような段階を示しましたか?それぞれの段階の特徴を簡潔に述べてください。
  8. コフートは、自己をどのように定義しましたか?彼の理論における「誇大自己」と「理想化された親のイマーゴ」の概念を説明してください。
  9. エリクソンは、自己ではなく「アイデンティティ」という概念に焦点を当てました。彼によれば、アイデンティティはどのように形成されるのでしょうか?
  10. このテキスト全体を通して、自己という概念はどのように多様な視点から捉えられてきましたか?異なる理論家たちの主要な視点をいくつか比較してください。

クイズ解答

  1. フロイトは、精神分析的心理療法の目的を「神経症的な苦悩を普通の人間の不幸に変えること」だと述べています。レヴィンは、現代のメンタルヘルス業界に蔓延する万能薬の売り込みのような、過度な約束をする風潮に懐疑的です。
  2. 自己愛的傷つきは、核となる自己、つまりアイデンティティや自己イメージ、自尊心を脅かす深くて中心的な痛みです。これに対し、他の痛みは必ずしも自己の中核を突くとは限りません。自己愛的傷つきに対する主な感情反応は、傷つき、恥辱、そして怒りです。
  3. 心理療法の治療自体が自己愛的傷つきとなるのは、患者が自分の苦しみを理解してほしいという強い期待を持つ一方で、セラピストが常にその期待に応えられるわけではないからです。セラピストの不完全な共感や逆転移、患者であるという役割自体が双方にとって傷つきの源となります。
  4. フロイトは、自己(自我)を放棄された対象カセクシスの沈殿物であると考察しました。これは、愛する対象を自分自身に取り込むことで、その対象を手放すことができるという考えです。また、彼は自我を第一に身体的自我であるとも述べ、自己意識における身体感覚の重要性を強調しました。
  5. ハルトマンは、自己を個人の身体的および精神的存在、自己表象を自己の精神的表象、自我を心の機能を持つ機関として区別しました。彼の自己表象の概念は、後の精神分析において、自己理解の重要な枠組みとなり、多くの理論家によって発展させられました。
  6. ヤコブソンは、ハルトマンの自己表象の理論に感情的な要素を加えました。彼女は、自己表象は単に認知的なものではなく、常にリビドー的または攻撃的な感情によって彩られていると考えました。この情緒的な側面が、自己経験の質を決定すると強調しました。
  7. カーンバーグは、未分化の母体、自己対象表象、自己表象と対象表象の区別(良いと悪い)、そしてそれらの統合という4つの段階を示しました。各段階は、自己と他者の認識と感情的な経験の複雑化を反映しています。
  8. コフートは、自己を空間的に結合し時間的に持続する、主導権と印象の中心となる単位として定義しました。彼の理論では、誇大自己は幼児期の全能感の残滓であり、理想化された親のイマーゴは、安全と強さの源として経験される理想化された養育者の内的表象です。
  9. エリクソンによれば、アイデンティティは他者(親、兄弟姉妹、仲間など)や大義、理想との同同一化の統合された複合体から形成されます。個人は、社会文化的状況や自身の特性との相互作用を通して、独自のアイデンティティを構築していきます。
  10. 自己は、持続する思考者、宇宙の前に恐怖を感じる存在、記憶、幻想、経験の必要条件、決定と自由の共存、行為と葛藤の中で実現するもの、疎外されたもの、意識的・無意識的な感情、関心の対象全体、他者の反映、身体感覚から生じる感覚、そして流れとして捉えられてきました。

論述形式の質問

  1. 自己愛的傷つきは、個人の心理的発達にどのような長期的な影響を与える可能性がありますか?複数の理論を参照しながら、その影響と治療の可能性について論じてください。
  2. 精神分析における自己概念の進化を、フロイト、ハルトマン、ヤコブソン、カーンバーグ、コフートの理論を比較しながら説明してください。各理論が自己理解にどのような独自の貢献をしたのかを考察してください。
  3. 自己愛的傷つきの治療において、セラピストの役割はどのように理解されるべきでしょうか?テキストで議論されている逆転移や、治療自体がもたらす可能性のある傷つきに焦点を当てて論じてください。
  4. 現代社会における自己愛的傷つきの現れ方について、テキストの概念を参照しながら考察してください。ソーシャルメディアや消費文化などが、自己評価や自己概念にどのような影響を与えている可能性があるでしょうか?
  5. 自己の統合という概念は、精神分析の異なる学派においてどのように理解されていますか?フロイト、ユング、コフートの視点を比較しながら、自己統合の重要性とそれを達成するための治療的アプローチについて論じてください。

用語集

  • 自己愛的傷つき (Narcissistic Injury): 核となる自己、つまり個人のアイデンティティ、自己イメージ、自尊心を脅かす経験によって生じる痛み。恥辱、屈辱、怒りの感情を伴うことが多い。
  • 自己愛 (Narcissism): 自分自身への愛情。健康な自己愛は自尊心や自己価値感の基盤となるが、過剰または病的な自己愛は他者への共感の欠如や誇大性などを特徴とする。
  • 自己 (Self): 主体としての「私」であり、客体としての「非私」と対立するもの。個人の身体的および精神的存在、アイデンティティ、経験の組織化原理など、多様な側面を含む複雑な概念。
  • 自我 (Ego): フロイトの構造モデルにおける心の機能を持つ機関の一つ。現実原則に従い、イド(本能)と超自我(道徳)の要求を調整する役割を担う。ハルトマン以降は、自己表象とは区別される。
  • 自己表象 (Self-Representation): 自己の内的精神的表象。身体的自己や精神的自己のイメージであり、意識的、前意識的、無意識的に存在する。感情的な彩りを持つとされる(ヤコブソン)。
  • 対象関係 (Object Relations): 自己と重要な他者(対象)との間の心的関係。初期の発達における対象関係は、その後の人格形成や対人関係に大きな影響を与えると考えられている。
  • カセクシス (Cathexis): 精神的エネルギーの投資。フロイトの概念で、リビドー(性的衝動)や攻撃的衝動が、自己または対象に向けられることを指す。
  • 誇大自己 (Grandiose Self): コフートの自己心理学における概念。幼児期の全能感や優越感の残滓であり、健全な発達においては現実的な野心へと変容する。病的な誇大自己は、自己愛的パーソナリティ障害の特徴の一つ。
  • 理想化された親のイマーゴ (Idealized Parental Imago): コフートの自己心理学における概念。幼児が経験する全能で完璧な親の内的表象。健全な発達においては、理想や価値観の源となる。
  • アイデンティティ (Identity): エリクソンの発達理論における中心概念。個人が「私は誰か?」という問いに対する答えとして持つ、自己の一貫性と独自性の感覚。同同一化を通じて形成される。
  • 転移 (Transference): 患者が過去の重要な他者との関係で抱いていた感情や行動パターンを、セラピストに向ける現象。
  • 逆転移 (Countertransference): セラピストが患者に対して抱く感情や反応。患者の転移やセラピスト自身の無意識的な葛藤によって引き起こされる可能性がある。
  • 投影同一視 (Projective Identification): クライン派の概念。自己の一部を受け入れがたいものとして他者に投影し、その投影されたものが他者の中で実際に体験されるように無意識的に働きかけるメカニズム。
  • 自己心理学 (Self Psychology): ハインツ・コフートによって創始された精神分析の一派。自己の構造と機能、特に自己対象との関係を通じての自己の発達と維持を重視する。
  • 分離-個体化 (Separation-Individuation): マーガレット・マーラーの発達理論における概念。乳幼児が母親との共生的な関係から心理的に分離し、独立した個体としての自己感覚を確立していく過程。

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