脆弱性モデルからレジリアンスモデルへ

脆弱性モデルからレジリアンスモデルへ 2008年

コーディネーター 加藤 敏

本シンポジウム「脆弱性モデルからレジリアンスモデルへ」では、最近欧米で注目され始めているレジリアンスの概念に様々な角度から光を当て、精神医学における治療論、回復論を正面から見据える方向へのパラダイムチェンジに資することを目指す。そこで、精神障害理解のための今日的な理論モデルをごく簡単に整理した上で、レジリアンスモデルの意義について概観したい。

Ⅰ 精神障害理解のための理論モデル

生物学的精神医学や社会精神医学の領域を中心に、これまで力を持ってきた精神障害理解のための理論モデルは、1)脆弱性モデル、2)ストレスモデル、3)生物心理社会モデルである。

脆弱性モデルでは、精神障害の病因、発病過程において、個体にすでに備わっている発病促進的に作用する生物学的な基礎を持つ脆弱性(vulnerability)を想定するもので、病因論の観点からは脆弱性に病気の最終的な原因を帰する点では還元論的立場が優位といえる。脆弱性モデルは統合失調症の病因理解で提唱されたのだが、躁うつ病にもこのモデルがしばしば適用される。脆弱性は発病に果たす個人の側の決定的な生物学的要因を指し示す概念で、Kraepelin以来のドイツ精神医学における内因性の病因概念に源を持ちながら、心理社会的要因とかみ合わせる仕方であらたな装いのもとに構想されたものといえる。概して従来の内因性精神病に対してこのモデルは馴染みやすいように思われる。しかし、以下に述べる理論モデルにも当てはまることだと思われるが、原理的にはすべての精神障害について、脆弱性を想定できるだろう。

ストレスモデルでは、例えばテロリストによる死の恐怖への突然の曝露といったように、少なくとも理念的には病因が特定のストレスに一義的に決定されると構想されている。その意味で、このモデルでも病因論の観点からは還元論的立場が優位である。ベトナムに派遣されたアメリカ兵の精神障害を踏まえ、DSMで提唱されたPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、ストレスモデルに立脚して構想された精神障害の典型だろう。従来の心因反応にもストレスモデルに与する病態理解が認められる。多くの精神障害では、例えば、対人関係のストレスが誘因となり統合失調症を発生するというように、少なくとも発症要因として広義のストレスを想定可能である。

生物心理社会モデルは、患者における脆弱性を含む生物学的要因と心理的要因、ストレス要因を含む患者を取り巻く社会的要因の相互作用において病態把握をすることを目指す統合的モデルで、治療、再発予防に貢献するところが大きい。統合失調症の発症過程を理解するため導入された経緯があるように思うが、それは生物学的要因のみで一元的には発症過程が十分理解できず、治療も進まないという認識によってであった。生物心理社会モデルは、すべての病因を取り込む包括的なパラダイムの布置を持っていることから、他の理論の上位に位置するとみたほうがよいかもしれない。

現代精神医学において、明確な予防・治療的視点を打ち出しているのが本シンポジウムで取り上げるレジリアンスモデルである。このモデルのなによりの特徴は、発病の誘因となる出来事、環境、ひいては病気そのものに抗し、跳ね返し、克服する復元力、あるいは回復力を重視・尊重し、発病予防、回復過程、リハビリテーションに正面から取り組む観点を持っていることに求められるだろう。病因論の観点からは、病因を一義的に特定する立場はとらず、単純な因果論的見方から離れ、発病は非線状的、あるいは多元的に決定されるという柔軟な立場をとる。

脆弱性モデル、ストレスモデルでは、最終的な病因を過去へ遡行的に決定する理論布置を持っているため、ややもするとしなやかな治療的観点が希薄になるきらいがあった。例えば、脆弱性モデルでは、悲観論が支配的になったり、ストレスモデルでは、過去の心的外傷に固執して前向きの治療が進まないことがしばしば観察された。レジリアンスモデルでは、心身複合体としての個人に備わる復元力ないし回復力を引き出すよう心がけ、統合的な観点から柔軟な前向きの仕方で治療に取り組むことが期待される。なお、主に統合失調症の心理社会的治療で問題にされる対処行動は、後に触れるようにレジリアンスの概念に含まれることから、生物心理社会モデルはレジリアンスモデルを包摂する理論モデルとみなすことも可能である。いずれにせよ、生物心理社会モデルでは、病気に対する回復力は主題的に問題にされなかったことからして、生物心理社会モデルに引き続く形でレジリアンスモデルが注目されるようになったことは、意義深い。

精神医学におけるレジリアンスの考え方は、もともと子どもの成長過程の研究に端を発している。アメリカの心理学者Emmy Werner14)は1955年より、ハワイ諸島の1つの島において、周産期に何らかの問題を抱えた698名の子どもを対象に、身体面と知的面での発育に注目して成人になるまで長期追跡調査を行った。その結果、201名は明らかな危険因子を持ち、〈vulnerable〉と評価される一方、約3分の1の子どもは大変健康な成人に成長したことが明らかになり、この健康な人たちについて彼女は〈resilience〉の語を用いた16)。Tisseron13)によると、これが、広義の精神医学領域でレジリアンスの語の最初の使用だという(p. 14)。

1970年頃より英米圏でレジリアンスの概念に関心が集まりだした。そこで関心を寄せられたのは主に環境に恵まれない、トラウマを負った子どもたちで、子どもたちがいかに逆境を乗り越えることができるのか、その戦略を練る上でレジリアンスの術語が使用された。1990年頃よりフランス語圏で本格的に導入され、その主要な関心事は同じく子どもの問題であった。フランス語圏での台頭には目を見張るものがあり、とりわけ2000年に入ってCyrunik1)、Tisseron13)、Lighezzolo6)、Szerman11)、Lacomte4)らによりレジリアンスを扱った著作が多数出されている。

Ⅱ レジリアンスの術語の語源、使用法

レジリアンス(resilience)の語の初出はイギリスのようで、オックスフォード英語辞典(Clarendon Press)によると、1600年代から「跳ね返る、跳ね返す」という意味で使用され、1800年代になると「圧縮(compression)された後、元の形、場所に戻る力、柔軟性」の意味で使用されるようになったことがわかる。フランス語においては、「跳ね返る、跳ね返す」を意味する動詞resilierの古語resilirは中世に遡るもので、ラテン語resilireに由来し、この語はre+salire(跳ねる)の合成語であることから、語源的には「再び跳ねる」を意味した(p.3-4)13)。フランスで名詞resilienceが使用されるようになったのはより最近のようで、『ロベール仏和大辞典』(小学館)によると、物理学の分野で1900年代に入り「衝撃強さ」の意味で使用され、水産の領域では「回復力」の意味で使用されたことが窺われる。

レジリアンスの語と対をなすストレスstressの語も、イギリスが初出のようで、オックスフォード英語辞典によると、1393年に「外力による歪み」という意味で使用されている。つまり、「外力の歪み」としてのストレスの言葉の出現に続く形で、「外力による歪みを跳ね返す力」としてのレジリアンスの言葉が創られてきた経緯は、自然なものといえるだろう。

精神医学におけるレジリアンスの術語は、元来、物理学の分野での使用法に準じる形で使用されたといってよく、さしあたり、病気に陥らせる困難な状況、ひいては病気そのものを跳ね返す復元力、回復力と理解してよいだろう。

精神医学に導入されると、レジリアンスの術語は様々な含意を込めて使用されるようになり、意味が錯綜してきている観もあるので、術語の整理を簡単にしておきたい。大きく分けると1)防御因子と2)回復の力動的過程の2つの意味がある。

防御因子は、1)生物学的次元とパーソナリティの次元から成る個人特性のものと、2)家族、社会などの集団特性のものにさらに大別されるが、現在のところパーソナリティ特性における防御因子の研究が多い段階のようである。英語圏では、パーソナリティ特性における防御因子にかかわるレジリアンスは、英語圏でEgo-Resiliencyと呼ばれることがある3)。具体的にいうと、例えば「他人と良好な関係を結ぶ力がある」ことがパーソナリティ特性におけるレジリアンスに挙げられる。そうすると、パーソナリティ特性としてのレジリアンスは、脆弱性因子、危険因子の対極に位置するものであることがわかる。そのため、レジリアンスをinvulnerabilite(非脆弱性)と定義するフランスの研究者がいる12)

レジリアンスのもう1つの意味である困難な状況、また病気に対する跳ね返し・回復の力動的過程は、防御因子を包括する広い概念で、Luthar7)はこの意味でのレジリアンスを「明らかに不都合な状況において、ポジティブな適応をもたらす力動的過程 dynamic process encompassing positive adaptation within the context of significant adversity」と定義している。

この過程を(分子)生物学レベル、パーソナリティレベル、社会環境が相互作用する力動の中で十分に明らかにすることは至難の業といわざるをえない。そのような意味でのレジリアンスの解明は、人間の正常な発達・成長を知ることに通じ、この作業の射程は広大である。

以上からわかるように、レジリアンスの術語の2つの使用法は、だいぶ違い、同じ術語で言い表すとかえって混乱を招きかねない。そこでLutharらは、「防御因子」にはresiliencyの術語を用い、跳ね返し・回復の「力動的過程」にはresilienceの術語を用いることを提案していることを付け加えておきたい。

そうした力動過程としてのレジリアンスは、脆弱性、ストレスを包摂する概念で、人間が侵襲をこうむるという受動状態に置かれた局面で、これを乗り越え、新たな主体を生み出す能動的な振る舞いの過程を指す。この概念の類縁概念として、1)英米圏で認知行動論の見地からLazarus5)によって提出された対処行動(コーピング)の考え方、また2)わが国では、宮本8)が人間学の見地から論じた自己治癒の考え方、そして3)脳神経学の領域で注目されている可塑性(plasticity)の考え方がある。レジリアンスの概念を、跳ね返し・回復過程の意味で解するなら、この概念は、対処行動、自己治癒を包摂する広い射程を持つことがわかる。例えば、脳出血後に生じた失語が、別な部位に言語脳が新たに再生し失語が回復するといった神経可塑性の現象が注目されているが、この神経再生は脳出血という侵襲を跳ね返す効果を持つという意味で、レジリアンスの振る舞いとみることもできる。

このシンポジウムを著者とともに企画し、またシンポジストとしても発表する八木は、統合失調症や気分障害の病態を、それらの防御または回復に関与する「侵襲後振動反応」(ラボリ)のシステムから捉えることを試みるネオヒポクラティズムを提唱している。この観点は、レジリアンスの考え方を先取りしたものである15, 16)。なお氏17)は、ネオヒポクラティズムの見地からレジリアンスを「疾病抵抗性」あるいは「抗病力」と訳している。

Ⅲ レジリアンスモデルのアプローチの外延

レジリアンスの研究、またこの概念の治療の場での実践をめぐっては、広義の精神病理学と生物学的精神医学からなる様々なアプローチがあり、レジリアンスは領域横断的な概念である。

例えば、心理・社会学の領域では、精神障害に対する社会の防御因子として、社会的サポートが重視され、精神障害の危険因子とされてきた貧困、離婚などとともに研究が進められている。また集団レベルのレジリアンスに注目することにより、精神障害の予防、慢性化防止への貢献が期待される。

また精神分析の見地から、レジリアンスの問題に新たな光が当てられる。親との愛着スタイル(attachment style)への注目はその一例である。さらに分子生物学からは、遺伝子-環境の相互作用を明らかにすることを目指すエピジェノミクスは、レジリアンスの研究に大きな貢献をすることが期待される。

Charles Darwinが進化論で強調した、熾烈な生存競争の中で生き抜く適応行動は、様々な逆境を乗り越え生き抜くという意味でレジリアンスの過程ということができる。それゆえ、進化精神医学もレジリアンスの問題を扱う学問といえる。

このレジリアンスの過程をきわめて概括的に図式的に捉えるなら、A)個体(種)の置かれた環境から課される選択圧(selection pressure)とB)個体特性の2つの要因の積によって決定されると考えられる。

つまり、

適応行動=F〔A個体(種)の置かれた環境から課される選択圧(selection pressure)×B個体特性〕

また、適応行動を階層的に形成する1)遺伝子・分子の振る舞い、変化、2)脳神経の振る舞い、変化、3)個体(種)の振る舞い、変化(性格・社会行動)、4)社会・文化の振る舞い、変化(ミーム、言語)のそれぞれについても、F〔A個体(種)の置かれた環境から課される選択圧(selection pressure)×B個体特性〕の算式で表されるだろう。進化論は、1)個体レベルのレジリアンスだけでなく、2)集団(種)レベルのレジリアンスを正面から考察する観点を備えている点でも貴重である。

アイスランドのチーム10)は、ヨーロッパ人の20%で遺伝子17q21.31に逆位(inversion)が認められたとする興味深い分子生物学の研究を発表している。著者らは、この逆位の遺伝子変異を持った女性はより多くの子供を持つという知見が明らかになったことから、17q21.31は人間の進化にかかわる部位で、そこにおける逆位は進化に有利に働くのではないかと推測した。この見解をレジリアンスの見地から解釈するなら、遺伝子17q21.31における逆位(inversion)は、集団が生き抜く上でのレジリアンスに寄与する遺伝子変異であることを示唆する。

さらに、社会進化論の見地からいうなら、伝統的な村落共同体やコスモロジー、神話、宗教などは、自然災害や戦争による仲間の死などの逆境を跳ね返し生き抜くための集団レベルのレジリアンスの社会・文化装置といえるだろう。こうした集団レベルのレジリアンスが衰退した現代、レジリアンスの概念が主題的に浮上するのは皮肉なことである。

ところで、レジリアンスを「社会的な適応行動」と定義した場合、果たしてそれが健常のものなのか、多少とも病的なものなのか区別する必要が出てくるはずである。例えばアメリカの研究者Jennifer Guittardは、1)真のレジリアンス(true resilience)と2)偽りのレジリアンス(pseudo resilience)を区別した(p.31)1)。真のレジリアンスは自由な伸びやかな人格発展につながる柔軟な適応をいう。これに対し、偽りのレジリアンスは、トラウマを体験した後、人との関係に難をきたす頑ななパーソナリティが形成されるというように、他の行動をとる自由性がもはや残されていない硬直した「適応」をいう。

病跡学は、精神障害の危険を持つ人や精神障害に陥った人がそれを克服するために紡ぎだす無意識の自己治癒的過程に光を当て、その症状形成物として創造性を問題にする。その意味では、病跡学は(精神分析を含む)精神病理学の立場からレジリアンスの研究にかかわってきたといえる。しかも、この場合の創造性は偽りのレジリアンスと分類されるものが多いと考えられる。多くの人は、親とのエディプス葛藤の中で自我の殻に固執する神経症性のパーソナリティを発展させる。レジリアンスの見地からすると、このパーソナリティはレジリアンスの過程の産物といえる。このように拡張してレジリアンスを考えると、果たしてレジリアンスを柔軟な適応と、硬直した適応に明確に分けることが可能なのかどうか疑問が出てくるだろう。厳密にいうなら、真のレジリアンスは悟りの境地に達した人に限られてしまうだろうし、虚偽行為がレジリアンスの戦略として発動する際、これを真のレジリアンスといってよいのか検討を要するからである。

Ⅳ 内因性レジリアンス

精神科治療において、いかにレジリアンスの過程を進めるのか、発動させるのかという問題枠はきわめて意義深いことだと思われる。精神障害の予防を進める上でも、慢性化を防止する上でもこの問題枠は重要である。この際、注意しておかなくてはならないのは、自然治癒の概念で、治療者は患者に秘められている自然治癒の力動を阻害していないかどうか絶えず吟味する態度が必要である。1つの例としてうつ病の治療におけるレジリアンスについて述べたい。

抗うつ薬の効果を検討したStassen, Angstら9)による研究が啓発的である。彼らは、計429名の大うつ病性障害の患者を対象に、amitriptyline投与群、(ノルアドレナリンの強力な選択的阻害剤である)oxaprotiline投与群、プラセボ群に分け、30日余りにわたり二重盲検試験を行った。その結果、うつ病からの回復の時間的推移は抗うつ薬群とプラセボ群で同じであり、治療様式によらないという大変興味深い知見が出された。これを踏まえ、彼らは抗うつ薬の作用に関し、次のように考える。1)抗うつ薬は、うつ病の治療に対する非反応群を反応群に変換することが、ある程度可能である。2)抗うつ薬は改善に必要な状態を引き起こし、維持することを可能にする。3)プラセボ群でも2~3週の潜伏期間をおいて改善が始まる点からして、抗うつ薬はうつ病からの回復の自然なパターンを変えるわけではない。結論として、抗うつ薬はうつ病に対し、うつ病そのものの改善をもたらすのではなく、うつ病の改善の機制を発動させる引き金作用(triggering effect)を持つという考え方が打ち出される。

プラセボ群が抗うつ薬群と同等なうつ病の改善効果を発揮したという知見は――もっとも30日間のハミルトン・スコアによる評価という限定つきではあるが――、うつ病の治療は、究極的には、もともと人間の身体に備わる自然寛解、ひいては自己治癒への歩みを引き出すことに帰着するということを示唆する。この研究では対象の精神障害がDSMで規定される大うつ病性障害とだけ記載されているわけだが、軽症のものを含めるなら、内因性うつ病がかなりの程度含まれていることは十分予想されるところである。

Stassen, Angstらが指摘するうつ病改善に対する引き金効果に関して、筆者の見地から述べたい。つまり、内因性うつ病は、ドイツの精神病理学者Tellenbachが人間学の立場から定式化したエンドン(Endon)のリズム性に基礎を持つ内因性の病態であることを勘案すると、内因性の病態自体が、本来のリズムへ戻ろうとする内発的な動きを秘めていると考えられる。それゆえ、われわれは「内因性レジリアンス」を問題にすることができるだろう2)。うつ病の治療の要は、内因性病態に備わる(病気に抗し、跳ね返す)回復力を引き出す、内因性レジリアンスの回路を作動させることにあるといえる。うつ病の遷延、慢性化が増えていることは、自然寛解へのレジリアンスの動きに対する阻害因子が増えていることの反映とみることができる。

Ⅴ 終わりに

欧米では、レジリアンスの研究は外傷性精神障害の予防、ないしその治療に大きな関心が向けられているように思われるが、わが国では、統合失調症、躁うつ病などについてもこの観点を敷衍して展開する素地ができているように思う。従来、精神障害の研究は、このことは一般医学疾患も事情は似ていると思われるが、病人の欠点、欠如している負の面、また病気であるゆえんの解明に多くの力を注いできた。レジリアンスの観点はこうした医学的な考え方に根本的な修正を促す意義を持つ。とりわけ精神障害においては、その障害の座がもっとも可塑性に富む脳と精神なだけに、レジリアンスの観点は生産的であることは間違いない。われわれは今日、精神科臨床の実践をさらに進める上で、「脆弱性モデルからレジリアンスモデルへ」および「ストレスモデルからレジリアンスモデルへ」という方向へのパラダイムシフトが要請されていることに注意を喚起したい。

文献

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