駒場学部講義2017 「意識の神経科学:盲視・統合失調症・自由エネルギー原理」
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ここの「Slide Share」にはスライドがたくさん。CBTとかもいろいろある。
駒場学部講義2017 「意識の神経科学:盲視・統合失調症・自由エネルギー原理」
- 1.東京大学教学部学際科学科 2017年度 人間情報学VI 意識の神経科学:盲視・統合失調症・自由エネルギー原理 6月21日(水) 3-4時 13:00-16:40、駒場キャンパス15号館1階104講義室
- 吉田 正俊 (自然科学研究機構・生理学研究所・認知行動発達研究部門 助教)
- 要旨 パート1: • 意識を科学的に研究するってどういうこと?
- • 「意識は定義できないから科学の対象にならない」というのは正しくない(Searle)
- • 「意識」という言葉で指している対象が共有できていれば充分(Searle)
- • 「意識のハード問題」という問題群がある(Chalmers)
- • 現象的意識とアクセス意識を分けて考える考え方がある(Block)
- • 脳損傷の症例からわかる意識経験の様々な形
- • 「知覚のための視覚」と「行動のための視覚」は脳の別の部分を使っている(Goodale)
- •盲視の症例では現象的意識だけ欠けているように見える(Weiskrantz)
- • 盲視は動物でも再現できる。つまり「見えない」ことは行動的に示すことができる(Cowey)
- • 盲視動物で「見えないこと」を示すためには信号検出理論を使うとよい(吉田)
- • 盲視動物は視覚サリエンスが使える(吉田)
- • 我々人間でも意識経験と視覚サリエンスが並行して処理されているのかも(吉田)
- • 意識が受け身の反応ではなくて行動とのループで変化するものという説がある(Noë)
- • この説を使うと盲視で起きることが説明できる(吉田) 要旨パート 2:
- • 意識は受け身の反応ではなくて環境への働きかけ
- • 同じ考え方はフッサール現象学にもある
- • 脳が仮説を作ってそれを検証することで知覚を構成するという説がある(Frith)
- • 視覚サリエンスはこの考えからベイジアン・サプライズとしてモデル化できる(Itti)
- • ヘルムホルツの無意識的推論も同じ方法で「予想コーディング」としてモデル化できる(Rao)
- •ベイジアン・サプライズ予想コーディングでの予測誤差そのもの(Friston)
- • 予測コーディングを行動に拡張したものが active inference (Friston)
- • 知覚、行動、注意、価値、みんな自由エネルギー最小化で説明できる(Friston)
- • 自由エネルギー原理 (または予測処理) で意識も説明できる(Hohwy, Clark)
- • 統合失調症: 自己、世界に対する意識経験の変容
- • 統合失調症で起きていることが自由エネルギー原理で説明できる(Friston)
- • 統合失調症での妄想、幻覚はサリエンスの経験の変容で説明できる(Kapur)
- • 統合失調症での視線は視覚サリエンスの変容で説明できる(吉田)
- • 統合失調症での視線はベイジアン・サプライズの変容でもっと説明できる(吉田)
- • 統合失調症のサリエンス説と自由エネルギー原理説は同じことを言ってるのかも(吉田)
- • 主体感と存在感の失調も予測コーディングで説明ができる(Seth, 鈴木)
- •意識のハード問題再訪
- • ハード問題は「回帰する類似問題」です
- • だからこそ「意識を科学的に理解する仕方」そのものを拡張してゆく必要がある
- • 経験の構造と一回性を重視する「神経現象学」
以下略。本文参照。
駒場講義2018「意識の神経科学と自由エネルギー原理」準備中
という記事があり、ここからさらに飛んでいろいろな情報が得られる。
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