近年、スマートフォンの利用頻度が急速に増加しており、スマートフォン依存(以下、スマホ依存)が問題となっている。スマホ依存は、特定の性格特性を有する人において有病率が高いことが示唆されている。イラン・Shahid Beheshti Medical UniversityのAli Kheradmand氏らは、スマホ依存と性格特性との関連を評価するため、相関研究を行った。その結果、スマホ依存者は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴である新規性追求、損害回避、自己超越の高さ、持続および自己志向の低さの性格特性を有していることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月8日号の報告。
テヘラン大学の学生382人を対象に、スマートフォン中毒尺度(SAS)およびペルシャ語版Cloningerのtemperament and character inventory(TCI)の質問票に対する回答を求めた。SASによる評価後、スマホ依存者を特定し、非スマホ依存症者との性格特性の違いを評価した。
主な結果は以下のとおり。
・スマホ依存の傾向が確認された学生は、110人(28.8%)であった。
・スマホ依存者は、非スマホ依存者と比較し、新規性追求、損害回避、自己超越の平均スコアが統計学的に有意に高かった。
・スマホ依存者は、非スマホ依存者と比較し、持続、自己志向の平均スコアが統計学的に有意に低かった。
・スマホ依存者は、報酬依存が高く、協調が低かったが、統計学的に有意な差は認められなかった。
・新規性追求、損害回避、自己超越が高く、持続および自己志向が低いことは自己愛性パーソナリティ障害を示すものであり、これがスマホ依存と関連している可能性が示唆された。