マルチバースの話で、現在われわれが生きているこの世界は、物理定数が絶妙に生物に都合のいいように決まっているが、
他の世界ではこの定数が少しずつ違っているのであって、我々のこの世界が特殊だというわけではなく、たくさんある中の一つに過ぎない。
生物に都合がよければ、生物も発生するだろう。
というような話であるが、世界は確率分布の方程式に従って、確率的に存在するのであって、
その世界のそれぞれで方程式の定数が異なるとは思わない。
異なるとしたら、途中までは一緒で、ある時点から異なったものになると考えられるが、それは考えにくい。
ビッグバンがあったとして、その最初の時点から、定数は異なっていたと思う。
「無数の異なる宇宙」とはいうものの、どの時点かまでは同じであったはずで、どこかで分岐したとする単純なモデルで考えると色々困難がある。
無限の処理も難しい。自然数の無限と実数の無限は違う。そしてその他さまざまな無限もありそうで、
宇宙が時々刻々無限に分岐すると考えるとどれだけの無限の濃度になるのだろう。
ビッグバンの時に物質は生成されたとするのも、物質の法則にかなっていない。
無から有が発生するとも考えにくい。
例えば、それまでは物質と反物質が同居していたが、ビッグバンの時点で分かれて、
物質は物質の世界を作り、反物質は反物質の世界を作り、と考えると、少しは落ち着く。