こんな広報があります
(以下、引用)
認知矯正療法 NEAR 訓練ワークショップ受講者の方へ
精神疾患の認知機能障害改善を目的とした認知矯正療法 NEAR の治療者向け訓練ワークショップを下記要項にて開催いたします。
コロンビア大学のメダリア博士らにより考案された認知矯正療法 NEAR(Neuropsychological and Educational Approach to Remediation)は、精神疾患の認知機能障害に対するエビデンスに基づく心理社会的治療アプローチの一つです。メダリア博士は、NEAR が正しく普及されることを強く望んでおり、NEAR を臨床実践する際の条件として、一定の訓練を受け、ある基準に達していることが求められています。そのために、メダリア博士のもとでトレーナーとしての訓練を受け、治療者向け訓練ワークショップにおけるトレーナーとしての資格をメダリア博士より受けました。すなわち、本ワークショップに参加し、修了試験に合格することで、メダリア博士から NEAR を臨床実践する許可が得られることとなります。
訓練の内容ですが、基調講演で精神疾患と認知機能障害の基本的な理念について理解を深め、ワークショップでNEAR の治療理念や、効果評定などに関する講義と実際に認知課題を体験する機会を設けました。訓練最終日には修了試験を行い、合格者の皆様に修了証を発行いたします。訓練ワークショップは 3 日間にわたって行われますが、3 日間を通して参加されない場合は修了証発行条件を満たしませんので、ご注意ください。
主催: 国立精神・神経医療研究センター 病院
対象: 精神科医、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師
定員: 30 名程度
参加費:30,000 円/1 名
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(さらに、引用)
精神科社会的リハビリテーション
認知矯正療法NEARについて
About NEAR
認知矯正療法 NEAR
統合失調症の非薬物療法
パソコンによる認知機能のトレーニングと言語セッションと呼ばれる少人数グループでのミーティングを組み合わせた先進的治療技法です。社会生活に必要な認知機能を回復して、生活をしやすくすることを目的としています。
認知機能とは
認知機能とは、情報処理を司る脳の機能のことです。注意力・集中力・記憶力・遂行機能など生活をする上で必要な能力です。私たちは生来、認知機能を備えています。人によって機能の特性が異なり、弱い機能は改善することが可能です。また認知機能が強化されることで学習はより簡単になるとされています。
統合失調症と認知機能障害
統合失調症の症状では、陽性症状と陰性症状がよく知られています。実はその他に認知機能障害があることが研究で分かっています。認知機能障害は「作業能力の障害」とも言われ、記憶力が低下する、融通が利かない、了解が悪いといった症状がみられます。薬物療法で精神症状が落ち着いても、勉強や仕事、人間関係などがうまくいかず、社会的に不利な立場になってしまいます。
認知矯正療法「NEAR」
認知矯正療法とは、認知機能を回復するためのリハビリテーションです。
様々な技法があり、当院で導入しているNEARはパソコンを使う点が特徴です。NEARは、パソコンを使った課題セッションと、グループで認知機能について話し合う言語セッションの二本立てで行います。
課題セッションでは、60分間パソコンでゲーム形式の課題を行います。担当のスタッフはNCNPでトレーニングを受けたCRS(認知矯正療法士)が入りサポートします。
課題セッションでは、答えを教わるのではなく、攻略方法を考える過程が脳を鍛えます。
言語セッションは、認知機能が日常生活でどのように使われているかを理解するためのグループワークです。
生活のどんな場面で困っているかを自覚し、改善したいと思えればトレーニングの効果も上がっていきます。
NEARの効果をアップするデイケアプログラム
NEARはそれ単体では十分な効果が得られません。
NEARでトレーニングした認知機能を実践する場が必要です。当院では精神科デイケアでNEARを実施しています。デイケアでは、NEARと組み合わせてSKITやSSTを実施しており、社会認知機能のトレーニングも行っています。また、デイケアでは創作活動や音楽療法、健康体操などのプログラムがあり、サークル活動では仲間とのコミュニケーションが実践の場となっています。
神経認知機能の評価にはBACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度)という検査を採用しています。NEAR修了後には約75%の方で数値の改善がみられました。社会転帰については、NEAR開始時には全ての方が外来もしくはデイケア通所中でしたが、2023年6月現在の調査では、全体の約4割の方が就労や作業所へ移行されています。
NEARを実施していく過程で、課題に対して対処方法を考えて取り組む力がついてきます。これは日常生活での困りごとに自力で対応する力にもつながります。就労された方の中には、抑うつ的な傾向から自分の意見を言えるようになり、NEARでもロールモデルとして活躍され自信をつけていく姿がみられました。NEAR修了後にはハローワークで障害者雇用の相談をしてパソコンの講習を受け、就職先と自分で交渉できるまでになりました。
NEARの最終目的は、患者さまが自立した学習者となることです。NEARのトレーニングを通して自信を取り戻し、日常生活のちょっとしたトラブルにも対応できるよう能力向上を目指します。
-----引用、終わり。