東京大学は2024年9月7日、ネズミの脳波と生成AI(人工知能)を組み合わせて絵を描くシステムの構築に成功したと発表した。ネズミの大脳皮質から記録した「局所場電位」をリアルタイムで生成AIに入力することで画像を生成する。
入力されたテキストから画像を生成するAIは多数あるが、同システムではテキストを入力せず、局所場電位を入力する。局所場電位とは脳波の一種で、ニューロン(脳の神経細胞)が発する信号を記録した波形の時系列データである。この局所場電位を、英Stability AI(スタビリティーAI)が公開しているオープンソースの画像生成AI「Stable Diffusion」のデータ形式に合うように変換し、入力する。その結果、脳波に応じて変化していく画像が生成されるという仕組みだ。
同研究の手法は心臓や腸などの動き、風や波などの自然現象に関する時系列信号に応用できる。将来的には、認知機能の改善やメンタルヘルスの管理などに役立つ他、教育現場で脳機能を円滑に理解するのに活用できる可能性があるという。