脳原理とDNA原理
人間の生存を考えると、
根本は他の生物と同じで、DNAの存続を根本に考えるといろいろな事象が説明できる
DNAの存続を目指すというのも言葉が間違っていて
DNAの存続に役立つようなふるまいをするDNAが結果として世代を経て継続するということだ
ダーウィン主義である
しかし観察していると自分のDNAを残すのではなく
自分に近縁の遺伝子を残す行動を優先する場合がある
生物学では利他主義といわれるものであり
何がどのくらい有利な行動であるかを数字で計算できる
近縁の遺伝子と言うときの、何が近縁かといえば相対的なもので
状況によってどの範囲を近縁と考えるか範囲が拡大したり縮小したりする
ここまではDNA原理で説明できる
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一方で、生物は、栄養豊富な状態では単細胞で生きているが、
危機状態になると大きな器官の一部の細胞となって遺伝子の存続を目指すようになることが観察されている
個人主義で生きていけるならそれでいいが
条件が悪い時には集団主義になる
と言い換えられる
たとえば肝臓の細胞は現状では肝臓という臓器の一細胞として機能しているが
条件が整えば個人主義で生きてゆくだろう
個体生存がなければDNAの存続もないのは当然であるが
ある場面では個体生存を犠牲にしてDNA存続に寄与する場合がある
こうした対立は根の深い葛藤を引き起こす
普遍宗教の上質な部分は
利他的行動の勧めを説いている
家族を大切にする感情も大切であるが
近親の情を超えてより広く愛することも説かれている
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脳は、DNAの生存に有利な方向で進化してきた
利他的行動などもDNA原理で説明できる
倫理的感情はDNA原理のひとつの帰結である
DNAが幾世代も継続するものとして長い目で見た時には
脳はDNA原理に従っているが
個体生存と種の継続の観点から見ると、
時と場合によっては、脳はDNA原理から逸脱して脳原理に従ってふるまうことがあるように思われる
そのようなふるまいはDNA原理に反しているのだから
感情の面では反感も引き起こすが
個体生存の観点では有利なものなので
根強く続くことがある
例を挙げてわかりやすく言えばいいのだが
まさに倫理的反感を引き起こす恐れがあるので抽象的にだけ表現している
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こんな話を背景にして、
脳原理とDNA原理をある場面では対立するが、両者とも大切なものとして考えると、
この対立が、人間の精神の主な葛藤(コンフリクト)となってゆくのではないかと考えられる
最初期のフロイトはこれを意識と無意識の対立というような構図で表現したと一面では言えると思う
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アドラーなどの言う劣等感などはそれからあとの議論で
集団内での序列の問題などに関係する
これも当然葛藤の原因となるが
大きな構図でいえば
DAN原理と脳原理の対立が優先する
その対立が収まって安定した場面で集団内での序列などの次元が問題となる