なぜ尹大統領はいきなり非常戒厳を宣布したのか……翌朝には解除
今年4月の総選挙で野党が圧勝。以来、レームダック(死に体)状態
尹氏は今年、いくつかの汚職スキャンダルに見舞われてきた。妻をめぐっては、高級ブランドのディオールのバッグを受け取ったとされる疑惑や、株価操作に関わったとされる疑惑が浮上した。
このため支持率も低下し、17%前後という低水準で推移している。
野党は政府予算案の大幅減額を提案した。大統領は予算案には拒否権を行使できない。野党は同時に、複数の閣僚と、政府監査機関のトップを含む検察幹部らについて、大統領夫人に対する捜査を怠ったとして弾劾に動いた。
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尹氏による非常戒厳の宣布に、多くの人はあっけにとられた。国民は6時間にわたり、非常戒厳が何を意味するのかをめぐって混乱した。
「彼の発言は、四面楚歌の政治家のようだった。増え続けるスキャンダルや、組織的な妨害行為、弾劾の要求などに対して懸命に対処しようとしているが、それらはすべて、今後ますます強まっていくだろう」
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不確かな憶測情報ではあるが、大統領は孤独で、ネット世界の偏った情報に大きく影響されていたかもしれないとの意見もある。今回の事件で大統領に明らかな影響力を持っていたのは夫人である。過去には占い師や個人的な指南役がかかわっていた事例もある。北朝鮮の圧力、中国と対峙する韓米日など、分かりやすい構図もある。
声明の中で、過剰な視野狭窄、現実把握の悪化などが見て取れるが、非常戒厳を発するには、軍部や米国との連絡が必要であり、実現したということは、軍部も米国も最終的には同意したということになる。
大統領を取り巻く環境の圧倒的不利、そして大統領の現実把握能力の低下、それが引き金となって、軍部と米国に相談、肯定的な返事が来たので実行、ということだったと言われている。
これでいいとは思えないし、納得もできないが、実際にこんなことも起こるのだ。