精神病症状の数値化問題 機械学習

・精神病に関して、症状の数値化ができるかどうか、長年の課題であった
・たとえば光学は色の名前で呼んでいる時代は数値化困難で、数学が使えなかった。光の波長を数字で扱うようになって進歩した。
・また例えば、情報科学では、情報量を定義することが困難だったが、シャノンが情報量の定義を提案して、数値化できるようになり、数学が使えるようになった。


・精神症状について、従来は主観的評価や客観的評価を抑うつや意欲低下などについて何段階かで評価するものだった。不十分だった。
・また、眼球運動などを計測して評価する試みなどがあったが成功していない。

・患者の画像や音声その他の診察時のデータを大量に入力して、結果との関係を機械学習で導き出すことはできないか、研究が進んでいる。
・脳波や脳血流を調べる方法もあるが、良い結果は出ていない。
・会話速度、相手の言葉に対しての反応時間、会話の休止時間などを測定して、うつ病の重症度と関連があるか、調べている。この場合、話速、反応時間、休止時間などのデジタルフェノタイプは測定できるが、うつ病の重症度については、従来の質問紙法であるHAM-Dなどが用いられている。HAM-Dで出された数字がうつ病の重症度の測定になっているのかは、怪しい。しかし現状ではほかに方法がない。

・しかし、質問紙法で生じる主観的な不安定さを回避できる。それだけで十分に有用である。客観的データ測定によるHAM-D計測ともいえる。

・体動、睡眠、皮膚温度、脈拍などを計測し、うつ病の重症度を推定できないか、調べられている。この場合も、質問紙法での重症度をうつ病の重症度とみなして数値化している点で不十分である。
・例えば、とても日焼けしていて、目には力があり、言葉も明瞭で、自信の感じられる人が、自分は抑うつと意欲低下と不眠で困っていると話した場合、言語内容と表出が食い違っている。その場合は、表出のほうがよい指標になるだろうとの考え方である。そのあたりの検出には役立つ。

・生成AIが発展して、自然言語処理(NLP:natural language processing)が発展している。自然言語処理(NLP)とは、大量のテキストデータをAIが分析する技術であり、人間が普段コミュニケーションに用いている言葉(自然言語)を対象として、それらの言葉が持つ意味を解析し処理する。
・会話文章の、構造、語彙、意味、係り受けの距離や複雑さ、指示語の頻度、単語の反復などを数値化して、認知症の重症度の関係を見ている。よい相関がみられている。

・ゲームによるADHD治療アプリ(2018)、うつに対しての認知行動療法アプリ(2017)、睡眠障害に対してのアプリ治療(2012)などが提案されている。

natural language processingの内容
・音声認識(Speech to Textとも呼ばれます)は、音声データをテキスト・データに確実に変換するタスクです。音声認識は、音声による指示に従ったり、音声による質問に答えたりするあらゆるアプリケーションで必要とされます。特に音声認識を難しくする要因は、人々の話し方です。人は早口で話したり、言葉をつなげたりします。強調やイントネーションも変わり、人によってアクセントも異なります。また、誤った文法を使用することもあります。
・品詞タグ付け(文法的なタグ付けとも呼ばれます)とは、特定の言葉またはその使用法とコンテキストに基づくテキストの一部の品詞を判別するプロセスのことです。品詞タグ付けでは「I can make a paper plane」という文では「make」を動詞として、「What make of car do you own?」という文では、「make」を名詞として識別します。
・語義の曖昧性解消は、特定のコンテキストで最も意味のある言葉を決める意味解析のプロセスを介して、 複数の意味を持つ言葉の意味を選択することを指します。 例えば、語義の曖昧性解消は、動詞 「make」は、「make the grade」では「達成する」という意味で、「make a bet」では「賭けをする」という意味であるというように意味を区別する助けとなります。
・Named Entity Recognition(NEM)は、単語またはフレーズを有用なエンティティーとして特定します。 NEMにより、「Kentucky」は場所で「Fred」は男性の名前であることが特定されます。
・共参照解析は、2つの単語が、同じエンティティーを指している場合にそれを特定するタスクです。よくある例は、特定の代名詞が指す人または物を判別すること(例:「she」が「Mary」を指すこと)ですが、 テキスト中の比喩やイディオムの特定 (例:「bear」が動物ではなく、体が大きくて毛深い人のことを指すという事例)も含まれます。
・感情分析は、テキストから主観的な性質(態度、感情、皮肉、混乱、疑惑)を抽出しようと試みます。

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