高齢者の孤独と孤立
孤独は楽しむ、孤立は避ける
お一人様には「人に頼りたくない」「迷惑をかけたくない」と言う方が多いのですが、できないことは人にやってもらって当然ではないでしょうか。ただし、自分ができることを積極的に人にも提供する、それが世間との繋がりです。
ひっそりと胸に抱えた思いを誰かに聞いてほしいとき、一緒に食事をしたり励ましたりしてくれる友人がいればこそ、孤独を楽しむことができるのです。
結局、なんでも話せて信頼できる人は、同年代の友人や、付き合いの長い知人だったりするものです。子供は、世代も違えば価値観も異なるので、意外と理解し合えないことがあります。
以前、家庭は大家族により形成され、その中に色々な世代の人がいました。互いに助け合って一生を終えることができたわけです。現代では核家族化し、個人情報保護法のもと近隣の人の詳細も把握が困難です。夫婦二人で助け合えているときはまだいいのですが一人になったらどうしようと悩み、このまま一人で頑張るか子供の家に移り住み同居するか迷うことになるでしょう。
ですが、最近は子供の生活を尊重し一人で頑張る人が多いようです。また、子供は、世代も違えば価値観も異なるので、意外と理解し合えないことがあります。私たちには子供はなく夫と二人の生活でしたので、お子さんを持つ知人に「私は一人だけどあなたは息子さんやお孫さんがいていいわね。さみしくなんかないでしょ?」と言ったことがあります。すると、その知人は「とんでもない、息子夫婦の家に行くと孫もいて可愛いけど遠慮して早々と帰ってくるの」「いないよりさみしいものよ」と意外な返事でした。
考えてみると孤独は案外いいものです。好きな時間に好きなことができるからです。すなわち生活のすべてが自分の思い通りになる幸せを味わうことができるのです。私は今、孤独を楽しんでいますが、友人たちとの関わりが何より大切だと思っています。
フランスの作家バルザックは「『孤独はいいものだ』ということを我々は認めざるを得ない。しかし、孤独はいいものだと話し合える相手がいることも、一つの喜びだ」と書いています。