瞑想療法メモ 105 Janのセラピー
セラピーでのやり取り
Janは 「ソファの上でもがきながら」 自分の感情を語った。
セラピストはJanに質問した。
→ 「その怒りや葛藤は、身体のどこに感じる?」
Jan:「お腹のあたりに感じる」
セラピストはさらに指示を出した。
→ 「その感覚の大きさ、形、質感をじっくり感じてみて」
この方法の意味
感情や葛藤は、体にも現れることがある。(「身体表現」)
体の感覚に集中することで、感情をより深く理解できる。
このようなアプローチは、瞑想の経験がある人には特に効果的。
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1.
Janは、自分の感じている身体の感覚を詳しく説明し、それが「怒り」「葛藤」「混乱」の表れだと気づいた。
セラピストは「その感覚に意識を集中し、どのように変化するか観察してみて」と指示。
瞑想の経験があるJanは、注意を集中させ続けることができた。
→ 数分後、彼女は「その感覚が小さくなり、滑らかになり、弱くなっている」と報告。
→ それに伴い、怒りや動揺が減り、胸のあたりに新しい感覚が現れた。
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2.新たな感情の発見→「悲しみ」
Janは、その新しい感覚を「悲しみ」と認識。
自分の感情的な反応(怒り)に対する悲しみ。
同僚の行動によって影響を受ける人々を守れないことへの悲しみ。
セラピストは「ただその悲しみを観察し、そこから思い浮かぶ考えやイメージに注意を向けて」と指示。
Janの頭の中に、以下のような考えやイメージが次々と浮かんできた。
「無力そうな自分の姿」
「どうにかしなきゃ」「何をすべきかわからない」「私には何か問題があるの?」
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3.考えや感情を「ただ観察する」ことでの変化
セラピストは「その考えやイメージを変えようとせず、ただ観察するように」と促す。
Janは次第に、その考えや感情と「自分自身」を同一視しなくなり、反応が薄れていくのを感じた。
心と体がリラックスし、涙がこぼれた。
その瞬間、「私はただの人間なんだ」「何をすべきかわからなくてもいい」「すべての責任を背負う必要はない」という考えが自然に浮かび、心が軽くなった。
このように、考えや感情を無理に変えようとせず、ただ観察することで、自然に心が癒される現象が起こる。
これは、瞑想の特徴であり、伝統的な心理療法とは異なる点の一つである。
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4.落ち着きと新たな気づき
セラピストは、Janに「今感じている落ち着きと安心感を大切にしながら、次に浮かぶことを観察してみて」と促した。
約2分の沈黙の後、Janは「状況をより効果的に対処する方法」に関する新たな気づきを語り始めた。
自分の限界を受け入れ、「現実的にできること」を考えられるようになった。
さらに、少しずつ同僚への共感や思いやりの気持ちが芽生え始めた。
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5.セッションの振り返り
Janは最終的に、「彼女も私と同じように『自分をコントロールしたい』という欲求に突き動かされているんだ」と気づいた。
「彼女に対して、もっと思いやりを持てるようになりたい」と決意。
その後の瞑想や心理療法のセッションでも、Janは「同僚への共感を深めること」に取り組んでいった。
●なんと美しいことか。数学のエレガントな証明のようだ。