実存メモ75

実存メモ75
「自分は特別な存在である」という信念(スペシャルネス)
人は本能的に、「自分は絶対に傷つかない」「自分は死なない」という強い思い込みを持っています。
もちろん、理性的に考えれば、これが間違っていることは理解できます。
しかし、無意識の深い部分では、「自分には普通の生物学的ルールは当てはまらない」と感じています。

心理療法では、このような「自分は特別だ」という考え方を、ナルシシズム(自己愛)や自己中心的な態度(エンタイトルメント)と呼ぶことがあります。
また、仕事中毒(ワーカホリック)や、成功への執着、未来のために財産を蓄えること、権力や名声を求めることなども、
「自分が死ぬことを避けたい」という心理が引き起こす、強迫的な行動の一つと言えます。

「特別でありたい」という防衛機制が一時的にうまく機能している間は問題になりません。
しかし、それが崩れたとき、人は大きな危機に直面します。
例えば:
重い病気になったとき
「ずっと上昇し続けるはずだった人生」が停滞したとき
事故や災害に巻き込まれたとき(トラウマ体験)

このような状況では、「なぜ私が?」とという問いが頭から離れなくなります。
しかし、もしこの問いを「なぜ私ではないのか?」と考えると、それまでの「自分は特別だ」という思い込みが崩れ、死の恐怖と向き合うことになります。

そして、向き合って、答えは見つからない。絶望する。その地点で、先祖返りしてしまう。
先祖返りしないで、どうすればよいのか、まだ分からない。当分、分からない。

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