実存メモ76
「究極の救済者がいる」という信念
もう一つの「死を否認する防衛機制」は、「自分を守ってくれる究極の救済者(レスキュー)がいる」という信念です。
人は、この救済者を「人間」として想像することもあれば、「神」のような存在として想像することもあります。
どちらにせよ、「自分のことを見守ってくれている存在がいる」と信じることで、死の恐怖を遠ざけようとします。
この信念を持つことで、人は「世界は無情な場所ではなく、自分は守られている」と感じられます。
そして、無意識のうちに「全知全能の救世主」がいると信じることで、死の不安を和らげようとするのです。
しかし、これは一時的な逃避にすぎません。
根本的な不安を解決するどころか、むしろ長期的には「適応の問題(生きづらさ)」を生み出します。
人間脳に、全能の救世主を受け入れたい渇望がある。
その渇望に飲み込まれてしまう。それが人間だ。
絶望ばかりである。