「非倫理的で危険」と声明 子どもへの頭部磁気治療で(TMS) 共同通信社

「非倫理的で危険」と声明 子どもへの頭部磁気治療で

  • 24/04/05
  • 記事:共同通信社

 日本児童青年精神医学会は4日までに、18歳未満の子どもや若年層に対し、頭部を磁気で刺激する「経頭蓋磁気刺激治療(TMS)」を施すことは「非倫理的で危険性を伴う」と批判する声明を発表した。発達障害の専門外来をうたう一部の精神科クリニックが、専門家らの適正使用指針に反して未成年にも施術を勧め、問題になっていた。声明は2日付。

 同学会は声明で「TMSは頭痛のほか、けいれん発作が発現することもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘。海外の臨床試験を調べたが「現在のところ、子どもに対する有効性と安全性の証左は不十分であるとの結論に至り、実施は適切ではない」とした。

 また、将来的に有効となる可能性はあるものの、臨床研究を経るべきだとしている。

 一部クリニックについては、患者側が治療費のために高額のローンを組むケースもあるとして、専門医から「不安を利用している」との批判が出ていた。

 ※経頭蓋磁気刺激治療(TMS)

 専用のコイルを頭部に当て、発生するパルス磁場によって特定部位の神経細胞を繰り返し刺激し、脳の働きを正常へと近づける治療法。うつ症状への効果が一定程度認められ、日本では2019年に一部のうつ病患者に保険適用された。身体への有害性や負担が少ない新しい治療法として注目されるが、日本精神神経学会の適正使用指針は、18歳以上で、かつ薬物療法により十分な改善がみられないうつ病患者に対象を限定。海外では強迫性障害やニコチン依存症などを治療対象にしている国もある。

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