過度な飲酒が認知症リスクを高めることは知られている。だが、一昔前までは「酒は百薬の長」とまで言われていたため、少量の飲酒なら影響はないだろうと考える人は、今でも多いのではないだろうか。
アルツハイマー型認知症の有害因子となる代表的な生活習慣は高血糖、喫煙、飲酒、食生活の乱れ、睡眠不足、運動不足です。脳血管性認知症のリスクでもあるので避けたいところです。
酒は百薬の長と言われ、適度な飲酒はアルツハイマー型認知症の予防効果があるとされてきました。それを証明したとする研究も多かったのですが、2016年に英国の30年におよぶ観察で、長期間の飲酒は海馬の萎縮に関連するという結果が報告されました。 大量飲酒はもとより、1週間にワイン1本、缶ビール6本程度の、いわゆる適度な飲酒でも、飲む人は飲まない人に比べて3倍程度の海馬の萎縮が見られました。さらに適度な飲酒がアルツハイマー型認知症を予防するという証拠も得られませんでした。 中国の大規模な疫学調査で、飲酒量の多い地区と少ない地区で血液中のゲノムの状態を比較したところ、飲酒量ではなく、飲酒そのものが脳卒中の発生リスクになっていることがわかりました。
脳を若く保つために高齢者であっても運動すべきだ
過剰な運動はフリーラジカルを増やすので適度な運動で十分。
人間の身体の老廃物はリンパ液によって排出されます。しかし、脳にはリンパ管が存在しないため、脳血管周囲の髄液で満たされた空間を「グリンファティックシステム」と呼ぶようになりました。 最近になり、この空間が脳脊髄液を導く管であり、脳のリンパ管とも言える役割を果たしていて、とくに睡眠中にアストロサイトの体積が縮小してこの空間が広がり、脳脊髄液が脳組織を通過しやすくなることがわかってきました。よい睡眠中にこそ脳の間質に存在する老廃物が効率的に除去されるため、睡眠不足は脳機能低下の原因となると言われています。