タブレット端末を与えられた幼児は、後に怒りの抑制に関する問題を抱える可能性があることが12日に発表された研究結果で示された。子どもたちがネット上で閲覧するコンテンツを規制しようとする動きが強まるなか、社会に広く浸透しているモバイル端末が子どもたちの発達を妨げているという証拠がまた1つ増えた格好だ。
米医師会発行の小児科専門医学誌『JAMA Pediatrics』に掲載された査読付きの研究で、3歳半でのタブレット使用が、1年後に怒りやいら立ちを抱える傾向と「著しく関連している」ことが明らかになった。
うまく感情の制御ができない負の「サイクル」にタブレットが関与していることを示している
タブレットの使用は「日常生活の中で感情をうまくコントロールする」能力を損なうだけでなく、子どもたちが「かんしゃくを和らげるために、一層デジタルに頼る」ようになることが示されているという。
研究者らによると、タブレットやその他のモバイル端末の使用がなぜ子どもたちの情緒面での発達を妨げているのかは明らかではないが、子どもが感情の制御を学ぶのには主に2通りある。親の感情の制御法を観察するか、親から感情の制御方法に関する「感情のコーチング」を受けるかだ。タブレットの使用はこの2つの学習メカニズムを妨げ、「学習機会を減らし」、感情を制御する手法の「発展を損なう」可能性があると研究者らはみている。
スマホやタブレットなどのモバイル端末が、子どもと子どもの発達に悪影響を及ぼしていることを示唆する研究は増えている。例えば、かんしゃくを起こした子どもをなだめるためにスマホやタブレットを渡すと、感情を制御する能力が損なわれる可能性があることや、モバイル端末の使用が重要な言語能力や社会性の発達に悪影響を及ぼすことを示唆する研究結果がある。
モバイル端末の問題は幼児にとどまらない。スマホが授業の妨げになっていると警鐘を鳴らす教師が相次いでいるため、米国では多くの高校がスマホ禁止に動いている。子どもたちがオンラインで閲覧するコンテンツの種類についても大きな問題になっており、議員らは子どもたちのメンタルヘルスを向上させるために、若いユーザーのオンライン、特にソーシャルメディアの活用に規制を設けることを検討するようになっている。