エンプティ・チェア(Empty Chair)は、ゲシュタルト療法(Gestalt Therapy)の技法の一つで、感情を深く探求し、未解決の問題を解決することを目的としています。この手法では、クライアントが向かいに置かれた空の椅子に、ある人物や自分の一部(内なる声や葛藤している側面)を想像して座っていると仮定し、その存在と対話を行います。
🌟 エンプティ・チェアの目的
- 未解決の感情を解放する
- 自己理解を深めることで葛藤を整理する
- 過去の出来事や対人関係に対する気づきを促す
- 抑圧された感情(怒り・悲しみ・罪悪感など)を表現し、解消する
🪑 具体的なやり方
- 椅子を二つ用意し、クライアントは一つに座り、もう一つは空のままにします。
- 話したい相手や自分の一部を想定し、空の椅子に座っていると仮定します。
- 例)亡くなった親、対立している友人、過去の自分、批判的な内なる声など
- その存在に話しかける
- 「あなたにずっと言えなかったことがあります…」
- 「どうして私を認めてくれなかったの?」
- 役割を入れ替えて、今度は空の椅子に座り、想定した相手の視点から応答します。これにより、異なる視点を体験できます。
- 対話を繰り返し、感情を深掘りしたり、新しい理解を得たりします。
📌 使用される場面
- 未解決の怒りや悲しみの解消(例:亡くなった親への想い、別れた恋人への未練)
- 自己批判や内面的な葛藤の理解(例:「やる気がない自分」と「頑張らなければならない自分」の対話)
- 対人関係の改善(例:職場や家庭での摩擦を整理し、感情を処理する)
🧠 効果
- 抑圧された感情が表面化し、解放される
- 自分や他者に対する理解が深まる
- 対人関係の洞察を得ることで、新しい行動パターンを見つけられる
⚠️ 注意点
- 感情が強く揺さぶられることがあるため、セラピストのサポートのもとで行うのが望ましい
- 精神的に不安定な場合は、急激な感情の放出に注意が必要
この技法は、ゲシュタルト療法だけでなく、認知行動療法(CBT)やスキーマ療法など他の心理療法でも応用されています。