人間は必ず死んでしまう。そのことを知的に処理しようとして、連想するのは組織と細胞である。
たとえば肝臓でも心臓でも皮ふでも、全体の機能を維持しながら、日々、古い細胞と新しい細胞外が入れ替わっている。
皮ふの場合を考えると、自分でゼロから生物の皮膚を考えるとして、触覚を保持するために柔らかくすれば、傷つきやすい。頑丈にしたくて硬くすれば、曲げられないとか、不都合が生じる。最初に仕様を固定してしまうと、環境変化に対応できない。
温度、湿度、風、紫外線、水、虫など、いろいろなものに対応しないといけない。環境変化に対応するためには、日々、古い細胞を捨てて、新しい細胞を新しい環境に適応させるのが賢い。
人間は死ぬものだという認識も、個人は皮膚細胞のようなもので、日々、古いものが捨てられて、新しいものが、新しい環境に適応して、採用される。そのほうが合理的だ。
寿命はどの程度が最適化と言えば、環境変化の早さによるのではないか。環境変化が速いようなら、世代交代も早いほうがいい。