複数の研究結果から、45歳から65歳の中高年層は、インターネット上の陰謀論や誤情報を信じやすく、拡散しやすい傾向があることが示されています。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが行った調査では、10代から60代までの6000人を対象に、実際に拡散した9つのフェイクニュースに対する反応をアンケートしました。その結果、フェイクニュースを見て嘘だと気づかなかった人の割合は、60代が84.4%、50代が80.1%であり、40代の74%よりも高い数値となりました。
さらに、ニューヨーク大学とプリンストン大学の研究者による分析では、65歳以上のユーザーは、45~65歳の層の2倍、18~29歳の層の7倍もフェイクニュースを拡散する傾向があることが明らかになりました。
これらの調査結果から、中高年層は若い世代よりもフェイクニュースを信じやすく、拡散しやすい傾向があることが示されています。その理由として、デジタルメディアに対するリテラシーの不足や、認知能力の低下が指摘されています。
また、メッセージアプリやメールマガジンをよく利用する人は、SNSをよく利用する人に比べて、フェイクニュースと気づかずに拡散しやすい傾向が見られました。これは、他の人たちのコメントがあるかないかの違いが影響している可能性があります。
以上のことから、インターネット上の陰謀論や誤情報は、中高年層において特に広まりやすく、影響を与える可能性が高いと考えられます。
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中高年の間でネット上の陰謀論や誤情報が広まり、影響を与えている状況は、いくつかの研究や調査で指摘されています。SNSの利用状況や情報リテラシー、社会的な背景などが複合的に影響していると考えられます。
中高年における陰謀論・誤情報の広まり方
- SNSの利用拡大: スマートフォンの普及に伴い、中高年層でもSNSの利用が広がっています。特にFacebookやLINEといったプラットフォームは、友人や知人との繋がりが強く、信頼している相手からの情報が拡散されやすい傾向があります。
- 情報源の偏り: 若年層に比べて、ニュースサイトや専門的な情報源に触れる機会が少なく、SNSで流れてくる情報を鵜呑みにしやすい場合があります。
- 過去の経験や価値観: 過去の社会情勢や自身の経験から特定の陰謀論や誤情報を受け入れやすい場合があります。例えば、過去の社会的な出来事に対する不信感が、現代の出来事に関連付けられて陰謀論を信じるきっかけになることがあります。
- 孤立感や不安: 退職や子どもの独立など、ライフステージの変化に伴う孤立感や将来への不安が、陰謀論のような分かりやすい説明に惹かれる要因となることがあります。
中高年における陰謀論・誤情報の影響
- 政治的・社会的な分断: 誤った情報に基づいて特定の政治的主張を信じたり、社会的な問題に対する誤解を深めたりすることで、世代間や社会内の分断を助長する可能性があります。
- 健康被害: 誤った健康情報を信じてしまい、適切な医療を受けなかったり、危険な代替療法に頼ったりする可能性があります。
- 経済的な損失: 投資詐欺や悪質な情報商材などの誤情報に騙され、経済的な損失を被る可能性があります。
- 人間関係の悪化: 家族や友人との間で、信じる情報が異なることから対立が生じ、人間関係が悪化する可能性があります。
「中高年こそ影響」という意見について
「中高年こそ影響」という意見には、以下のような根拠が考えられます。
- 情報リテラシーの課題: 若年層に比べて、情報リテラシー教育を受ける機会が少なかったため、情報の真偽を見抜くスキルが低い可能性があります。
- SNSの利用特性: 前述のように、信頼している人からの情報を鵜呑みにしやすい傾向があります。
- 時間的な余裕: 退職後などで時間的な余裕ができ、インターネットやSNSに触れる時間が増えることで、誤情報に接触する機会が増える可能性があります。
ただし、これはあくまで傾向であり、全ての中高年が陰謀論や誤情報に影響されやすいわけではありません。情報リテラシーの高い中高年も多く存在しますし、年齢に関わらず、誰もが誤情報に惑わされる可能性はあります。
実際のところ
実際のところ、中高年層が陰謀論や誤情報に影響されやすいという研究結果は存在します。しかし、その影響の度合いや理由は複雑であり、一概に「中高年こそ影響を受ける」と断言することはできません。
重要なのは、年齢に関わらず、誰もが情報リテラシーを高め、批判的に情報を受け止める姿勢を持つことです。また、家族や地域社会全体で、正しい情報へのアクセスを促し、誤情報に気づき、対処するためのサポート体制を構築していくことが求められます。
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