実存メモ28
治療の立場:仲間としての旅人(The Therapeutic Stance: The Fellow Traveler)
「究極的な問題」を避けられないものとして認識すると、セラピストと患者の関係が変わる。
→ それは、「仲間としての旅人(Fellow Travelers)」という関係になる。
この観点からすると、「患者/セラピスト」「クライアント/カウンセラー」「分析対象者/分析者」などのラベルは、関係の本質を正しく表していない。
→ それらの言葉は、「苦しむ側(患者)」と「治す側(セラピスト)」という区別を生んでしまう。
→ しかし、私たちは皆、同じ運命を生きている。
人生の本質的な苦しみから完全に免れることができるセラピストも、人間もいない。
「人間としての共通の苦しみを共有すること」こそが、実存療法の基盤である。
実存主義の立場としては、問いは明確で、迫力がある。しかし答えはあいまいで、気迫だけが空回りしている。
気迫があるだけでも、この救いのない状況を考えれば、よいことではあるけれども。
旅人として、同じ飛行機に乗った。旅人として、同じ居酒屋で食事をとった。そんな場合の、仲間。
でも、無理しなくていい。無理が一番よくない。あるがままでいいのだ。