採録
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「トランプ氏といえば、帰りの機中で、映画「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」を見た。内容の真実性は定かではないが、若き日のドナルド・トランプが、この映画で彼の育ての親とされているロイ・コーンの生き様(哲学)を真似ることで創られていくという話だ。正確な英語は覚えていないが、コーン氏の言う成功の3大原則(常に激しくアタックせよ、間違っても決して非を認めるな、どんな結果でも勝利を主張せよ)を忠実に守ってのし上がっていくトランプ氏というストーリーだが、逆に言うと、米国で成功した資本家や経営者にはそういう考えの人が多いということでもある。」
コーン氏もトランプ氏も他の勝ち組の資本家たちも皆揃って、「我々こそが差別され、搾取されている」と主張していた。
アメリカでは、マイノリティとその支持を受けるリベラル政治家たちが、自分たち資本家から金を奪い取り、それをマイノリティにばら撒いているという「逆搾取」の構造を批判している。
貧困は、努力不足や能力不足から生じるもので、資本家にも資本主義にも全く責任はないという考え方。経済への貢献度が低い人間は貧しくても当然で、効率、言い換えれば生産性の低い人に高い報酬を与える方が逆差別だという主張。こうした考えは、社会保障など分配政策の否定につながる。
もしかすると、それは、人間は強くなければならないという思想からくるのではないだろうか。「強さ」が求められ称賛され、「強いことが正義」という考えが根底にある国が米国なのではないか。逆に言えば、「弱いものは同情に値しない」、さらに「弱者は悪」、従って「排除すべき」という考えにつながるのではないか。