「家にいるのが当たり前」理解得られず孤立 専業主婦のひきこもり

「家にいるのが当たり前」理解得られず孤立 専業主婦のひきこもり

「表面上は、ただの主婦。私が10年ひきこもりであると社会の誰も知らない」。ストレスで家からほとんど出られなくなった女性。生きづらさを抱えた主婦の存在は、立場ゆえに認識しづらい現状があります。

 「主婦が家にいるのは当たり前」「夫や子どもと関わっているならひきこもりとはいえない」――。国のひきこもりの統計で近年になって対象に含まれるようになった「専業主婦」。社会とのつながりを失い、生きづらさを抱えた主婦は一定数いるとみられるが、その立場ゆえに見えづらいのが実情だ。

 大阪府の女性(53)はこの10年、家族以外との会話はほとんどなく、大半の時間を家で過ごしているという。

 仕事をしつつ2人目の息子を生んだ30代後半ごろから、ワンオペ育児で精神的に追い詰められるようになった。実家は遠方で頼れず、夫は出張で留守がち。近くに住む義母との関係も良いとはいえず、子育てのささいな悩みを誰にも相談できなかった。

ひきこもり
内閣府は、仕事をしておらず、半年以上自室や家からほとんど出ない人、さらに、趣味以外で外出しない人も含めて「広義のひきこもり」と定義。「主婦(夫)」や「家事手伝い」は除外していたが、前回2018年調査から、直近の半年間に家族以外との会話がほぼなかった場合を含めるようになった。最新の22年調査では、15~64歳でひきこもり状態にある人は全国に146万人と推計。このうち女性は40~64歳では52%と半数を超えた。

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 私の育て方が悪かったせいで――。

 大阪府の女性(74)は35年間、そう自分を責め続けた。

 悩みは、自宅に引きこもったままの長男(51)だった。

 女性は誰にも相談できず、心配も焦りもひとりで抱え込んだ。周囲に知られないよう、徹底して隠しとおした。

 70歳を過ぎ、次第に不安が大きくなった。「自分がいなくなったら、この子は……」

 昨年夏、少しだけ勇気を出してみた。いま、予想もしなかった変化が起き始めている。

始まりは高校1年生だった。

 1学期が終わると、突然、「もう僕のためにお金を使ってもらわなくていい」と言い出した。

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