婚姻数 戦後2番目の少なさ コロナ禍減少分、戻らず

婚姻数 戦後2番目の少なさ コロナ禍減少分、戻らず

単身定着と価値観の変化が影響か

2023年の日本の婚姻数は約50万8000組と、戦後2番目に少ない水準となった。これは前年からの回復が期待されていたものの、コロナ禍で減少した婚姻数が戻らないまま推移していることを示している。婚姻数の減少は、少子化の加速や社会構造の変化を反映しており、背景には若年層の結婚観の変化、経済的要因、女性の社会進出の進展などが挙げられる。


婚姻数の推移と現状

厚生労働省の人口動態統計によると、2023年の婚姻数は約50万8000組であり、2022年とほぼ同水準にとどまった。日本の婚姻数は1970年代をピークに減少傾向にあり、2000年代初頭には70万組台だったが、その後は漸減を続け、2019年には約60万組にまで減少した。2020年には新型コロナウイルスの影響でさらに落ち込み、約52万5000組と大幅に減少。その後の回復が期待されたが、2023年も50万8000組と低水準が続いている。

戦後最も少なかったのは1945年の約39万8000組であり、それに次ぐ低さとなる。政府や研究者は、この減少傾向は一時的なものではなく、構造的な問題である可能性が高いと指摘している。


婚姻数減少の背景

① 経済的要因

若年層の所得が伸び悩んでいることも、婚姻数の減少に大きく影響している。特に非正規雇用の増加や低賃金労働の拡大により、経済的に安定した家庭を築くことが難しいと考える若者が増えている。男性の所得水準が結婚の意思決定に与える影響は大きく、収入の低い層ほど結婚に慎重になる傾向がある。

さらに、住宅費や教育費の負担増、物価上昇なども結婚をためらう要因となっている。特に都市部では生活コストが高く、結婚を前提とした住居の確保が難しくなっている。

② 若年層の結婚観の変化

近年、若年層の間で結婚に対する価値観が変化している。「結婚は必ずしも必要ではない」と考える人が増えており、特に女性の間でその傾向が顕著である。厚生労働省の調査によると、「一生独身でもかまわない」と考える人の割合は年々増加しており、特に20代・30代の若年層ではその割合が高い。

この背景には、個人の自由を重視する価値観の浸透や、結婚による経済的・社会的メリットの低下があると考えられる。かつては「結婚=安定」という考え方が一般的だったが、現代では必ずしもそうではなくなってきている。

③ 女性の社会進出

女性の社会進出が進む中で、キャリアを優先する人が増えている。特に大学卒業後に専門職や管理職として活躍する女性の割合が増加し、結婚よりも仕事を優先するケースが増えている。

また、結婚後も共働きを希望する女性が増えているが、依然として家事や育児の負担が女性に偏っている現状があるため、「結婚すると負担が増える」と考える人も少なくない。これは結婚を避ける一因となっている。

④ 出会いの減少

コロナ禍による影響もあり、婚姻数の減少には「出会いの機会の減少」も関係している。2020年から2022年にかけては、対面での出会いの場が大幅に減少し、婚活イベントや合コンの開催も制限された。こうした影響で、婚姻数の回復が遅れていると指摘されている。

また、オンライン婚活やマッチングアプリの利用は増えているが、必ずしも結婚に結びつくとは限らず、カジュアルな関係のままで終わるケースも多い。対面でのコミュニケーションが重要視される日本において、オンラインの出会いだけでは婚姻数の回復には限界があるとされる。


少子化への影響と政府の対応

婚姻数の減少は、少子化の加速に直結する。日本の出生率はすでに1.3を下回る水準となっており、結婚する人の減少は今後の人口減少をさらに加速させる要因となる。これに対し、政府は少子化対策の一環として「結婚支援」にも力を入れ始めている。

具体的には、自治体による婚活イベントの支援や、AIを活用したマッチングサービスの導入が進められている。また、結婚後の生活支援として、住宅支援や育児支援の拡充が求められている。しかし、こうした政策がどこまで効果を上げるかは未知数であり、根本的な価値観の変化に対応する必要がある。


今後の展望

今後、日本の婚姻数はさらに減少する可能性が高いと考えられている。既に未婚率は上昇しており、50歳時点で一度も結婚したことがない「生涯未婚率」も上昇傾向にある。2015年の国勢調査では、男性の生涯未婚率が23.4%、女性が14.1%だったが、2030年にはさらに上昇すると予測されている。

社会全体で結婚を促進する動きが求められる一方で、個人の価値観を尊重する姿勢も重要となる。結婚を望む人への支援を強化しつつ、多様な生き方を受け入れる社会の整備が必要とされている。


まとめ

2023年の婚姻数は約50万8000組と戦後2番目に少ない水準となり、コロナ禍での減少が回復しないままとなっている。経済的要因、結婚観の変化、女性の社会進出、出会いの減少などが背景にあり、少子化の加速が懸念されている。政府は結婚支援策を進めているが、根本的な価値観の変化に対応する必要がある。今後、婚姻数がさらに減少する可能性が高く、社会全体での対策が求められている。

テーブル

婚姻数(単位:件)
1945年945,000
1950年1,300,000
1955年1,230,000
1960年1,160,000
1965年1,190,000
1970年1,220,000
1975年1,180,000
1980年1,240,000
1985年1,330,000
1990年1,280,000
1995年1,120,000
2000年1,050,000
2005年935,000
2010年845,000
2015年795,000
2020年525,000
2024年455,000
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