転移(Transference)は、簡単に言うと、その人は過去の体験に由来する対人関係のテンプレートをいくつか持っていて、
いま現在の対人関係を、新規に開発するのではなくて、過去のテンプレートをあてはめて処理しようとすることである。
過去の体験からテンプレートを作って、あたらしい状況に対処する、と考えれば、
たとえば、ニュートンの場合、天体の力学を考えて、引力を、距離の二乗に反比例するとすれば、観測によく合うなんて考えていて、
そうした時に、りんごが木から落ちて、地面に落下したとして、「あ、これもそうだ」なんていうふうに、二つの独立した事象の間に、
内在的な共通性があると直感する。
これも細かく見ると、天体の力学のテンプレートができていて、その立場で、リンゴの落下を見た時に、
天体のテンプレートをあてはめたわけだと解釈できないでもない。
すると、転移という言葉よりは、先行テンプレートの応用、とでも名付けたほうが分かりやすい。
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勿論、人間は過去の対人関係テンプレートを無意識のうちに応用しているので、
何だかいつもうまくいかないなとか、思ってしまう。
そこを意識化するだけで、ずいぶん進歩がみられるということになる。
また、テンプレートを増やしておこうかなと考えることもできる。
沢山テンプレートがあれば、柔軟に応用できそうではないか。
プロ野球でも、日本でのテンプレートを繰り返すだけの人よりも、
アメリカで新しくテンプレートを身に着けるのがよいのかもしれない
とすれば、テンプレートをたくさんは開発できない、個人の限界があるのだろう
数少ない手持ちの変化球だけで勝負しようとしても無理がある
母親との関係を妻との関係で反復してしまうのはよくある間違いである
父親と夫を同じテンプレートで処理するのも間違いだ
日本でスライダーがよかったからアメリカでもスライダーばかり投げていてもうまくいかないこともある
父親と母親は、母親がフォークを投げて父親から三振を取っていたから、
自分もフォークで夫から三振を取ろうと思っても、うまくいくかどうかは分からない
しかし男女関係のテンプレートをそんなにたくさん開発できるわけでもない
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一見独立した事情の間に、構造的な関連があるなんていうような見方は学問そのものなのであるが、
そのような応用ができる学問を勉強しておくのが賢いと思う。
中にはそのような応用が難しいような学問もあるのだから、後になって少し後悔すると思う。
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フロイトの言う精神力動というものも、ニュートン力学を模範にしたものだし、さらには進化論を応用したものだ。
しかし一方で、フロイトの理論の応用として、性に関係する俗論がたくさんあって、フロイトがかわいそうだ。
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世の中の動きが急激だと、昔のテンプレートが役立たない場面も多くなっているのではないかと思う
