

会談が始まっておよそ40分ほど経過したあと、トランプ大統領は記者から「プーチン大統領に近すぎるのではないかという懸念も出ているが」と質問されました。
トランプ大統領は「双方に歩み寄らなければ合意は得られない」などと答え、同席していたバンス副大統領が「平和と繁栄への道は外交に取り組むことかもしれない」と述べました。
これにゼレンスキー大統領は「私たちはこれまでプーチン大統領と多くの対話をし、署名をしてきた。停戦の協定にも署名した。全員が私に『プーチン大統領は決してもう戦争をしない』と言った。しかし彼は停戦を破り、私たちの国民を殺し、捕虜の交換にも応じなかった」と説明しました。
その上で「どんな外交だ?バンス副大統領、あなたは何のことを言っているのだ」と述べました。
バンス副大統領は反発し「あなたの国の破壊を終わらせるための外交のことを言っている。大統領、アメリカメディアの前で論争するために執務室に来ることは敬意を欠いている」とゼレンスキー大統領を批判しました。
その後、トランプ大統領も「あなたは何百万人もの命を使って賭けをしている。第3次世界大戦をめぐって賭けをしている。あなたがしていることは、この国に対し非常に敬意を欠くことだ」と強い口調で述べて、ゼレンスキー大統領を批判しました。
トランプ大統領「アメリカなしではタフでいられない」
そして、トランプ大統領は「問題は、あなたがタフな男になれるよう私が力を与えたということだ。アメリカなしではタフではいられないだろう。あなたは取り引きをするか、アメリカが身を引くかのどちらかだ。われわれがいなくなれば、あなたたちは戦い抜くことになる」と述べました。
トランプ大統領「あなたたちにはカードがない」
さらにトランプ大統領は「あなたたちにはカードがない。われわれが合意に署名すれば、あなたたちははるかに有利な立場になる。しかし、あなたは全く感謝の気持ちを示していない。それはよいことではない」と述べた上で、記者団に執務室を出るよう告げ、会談の公開部分を終えました。
共同会見中止 ゼレンスキー大統領 ホワイトハウスをあとに
トランプ大統領と会談したゼレンスキー大統領は、日本時間の午前3時40分過ぎ、車に乗り込みホワイトハウスをあとにしました。記者団からの質問には答えませんでした。
当初の予定ではトランプ大統領と昼食をとったあと、共同記者会見を行うことになっていました。
ゼレンスキー大統領はホワイトハウスでの会談後、28日午後に首都ワシントンのシンクタンク「ハドソン研究所」で演説を予定していましたが、ハドソン研究所によりますと演説は中止になったということです。
「安全の保証」めぐっても 立場の隔たり 浮き彫りに
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談では、ウクライナが求める「安全の保証」をめぐっても立場の隔たりが浮き彫りになりました。
会談の冒頭でトランプ大統領は「われわれは石油やガスは豊富にあるが、レアアースは持っていない。合意が成立すれば、再び戦争に戻ることはないと思う」と述べ、鉱物資源の権益をめぐる合意によってアメリカの経済的関与が深まれば、ロシアの行動を思いとどまらせ、ウクライナの安全の保証につながるという考えを示しました。
またウクライナへの兵器の供与について、今後も供与は続けるとしながらも「大量の兵器を送るつもりはない」と述べ、消極的な姿勢を示しました。
さらにトランプ大統領は「ヨーロッパ各国はもっと関与を強めなければならない。彼らはわれわれよりもはるかに少ない関与しかしていないからだ」と述べ、ヨーロッパ各国がウクライナへの安全の保証の責任を負うべきだという考えを強調しました。
これに対し、ゼレンスキー大統領は「われわれはただ単に停戦だけを受け入れることは決してない。安全の保証がなければ機能しない。この合意文書だけでは十分ではない」と述べ、ウクライナへの安全の保証をめぐって合意文書の内容に不満を示し、双方の立場の隔たりが浮き彫りになりました。
ホワイトハウスが声明 会談での発言の主張を正当化
アメリカのホワイトハウスは会談後に声明を発表し「トランプ大統領とバンス副大統領は、アメリカ国民と世界のなかでアメリカの立場を尊重する人々の利益のために常に立ち上がる。アメリカ国民が利用されることは決して許さない」としています。
ただ、ウクライナ国内の鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名を見送ったことや、当初予定されていた共同記者会見を中止したことには触れていません。
代わりに、トランプ大統領とバンス副大統領の会談での発言について、データなどを挙げて補足しています。
このうち「第3次世界大戦をめぐって賭けをしている」という発言について「ゼレンスキー大統領自身も、ウクライナの状況が第3次世界大戦につながりかねないこと、アメリカの支援がなければウクライナが敗北することを認めている」としています。
また「あなたたちにカードはない」との発言については、去年11月の世論調査でウクライナ人の52%が戦争の早期の終結を望み、平和の引き換えに領土の一部を割譲することも考慮すべきと答えたことや、提供された兵器を扱う人材の不足や脱走兵の増加などを挙げて、主張を正当化しています。
ルビオ国務長官「合意大失敗 謝罪すべき」
会談に同席したアメリカのルビオ国務長官は28日、CNNテレビに出演しました。
この中でルビオ長官は、鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名は5日前に実現可能だったものの、ウクライナ側が首都ワシントンに来ることにこだわったと主張しました。
そして、ゼレンスキー大統領について「合意が大失敗に終わってしまったことを謝罪するべきだ。彼があの場で敵対的になる必要はなかった」と述べ、厳しく非難しました。
そのうえで「人々はゼレンスキー氏が和平に向けた合意を望んでいないのかもしれないと感じ始めている」と述べ、ゼレンスキー大統領の停戦の実現に向けた姿勢を疑問視しました。
アメリカ 与党・共和党からはトランプ大統領支持の声
このうちウクライナ支援に消極的な意見が根強い共和党内で、ウクライナを支持し、支援の必要性を訴えてきたグラム上院議員は、記者団に対し「完全な大惨事だ。大統領執務室で目にしたのは敬意に欠ける態度だった。われわれがゼレンスキー大統領と再び仕事ができるかはわからない」と述べてゼレンスキー大統領を批判しました。
そして「ゼレンスキー大統領は辞任して、われわれと一緒に仕事ができる人物を送るか、自分自身を変える必要がある」と述べました。
また、これまでウクライナ支援に反対してきた共和党議員からは「もう1セントたりとも支払う必要はない」とか「独裁者のゼレンスキー」などと一斉に強い反発の声が上がっています。
アメリカ 野党・民主党からはトランプ大統領批判も
一方、野党・民主党からは、トランプ大統領はロシアではなくウクライナ寄りの立場をとるよう求める声が上がっています。
民主党の議会上院トップのシューマー院内総務は、SNSに「トランプとバンスはプーチンのきたない仕事をやっている。上院の民主党は自由と民主主義のために戦い続ける」と投稿し、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領寄りの対応をとっていると批判しました。
また、民主党の下院トップのジェフリーズ院内総務も、声明で「ホワイトハウスでの会談はひどいもので、残忍な独裁者であるプーチンをさらにつけあがらせるだけだ。勝利が得られるまで、ウクライナとともに立ち向かうべきだ」と強調しました。
ウクライナ側「わが国の利益守る大統領を支持する」
会談に同席したウクライナのイエルマク大統領府長官は、SNSに「大統領は、わが国のため、そして公正で永続的な平和を求めるすべての人々のために戦っている。私は、わが国の利益を守る大統領を支持する。どのような状況にあっても」と投稿しました。
その上で「私たちとともにいてくれる人々に、ウクライナが単なる地図上の点ではないと理解してくれる人々に、感謝する。アメリカ国民の支援に深く感謝する」と述べました。
また、ウクライナのシビハ外相はSNSで「ゼレンスキー大統領は正しいことのために立ち上がる勇気と強さを持っている。彼はウクライナの公正で永続的な平和という目標のために立ち上がっているのだ」と投稿し、ゼレンスキー大統領を支持する姿勢を示しました。
その上で「私たちはこれまでも、そしてこれからも、アメリカの支援に感謝し続ける」としています。
ウクライナ市民の受け止めは
ゼレンスキー大統領とトランプ大統領との会談について、ウクライナ西部のリビウで市民に話を聞きました。
26歳の男性
「ニュースを聞いて悲しかった。トランプ大統領は私たちのパートナーというよりロシアのパートナーのようにみえる」
兵士として戦闘に加わっていたという男性
「大統領がアメリカに行く前から期待はしていなかった。ゼレンスキー大統領はやるべきことをやったと思う」
31歳の男性
「トランプ氏が言おうとしているのは、ヨーロッパが自分たちで解決しろということだ。ヨーロッパの国々が経済的にも軍事的にもウクライナへの支援にもっと積極的になってくれると信じている」
